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用語集

2025.08.18

【金属加工用語集】

金属加工用語集を作成しましたので、ご活用下さい。

あ行  か行  さ行  た行  な行  は行  ま行  や行  ら行  わ行  A~X

あ行

No.用語説明
1アーク強烈な光の大部分は紫外線で、このほか可視光線、赤外線が含まれる。温度は2500~3500℃と推定される。
2アーク溶接母材と溶接棒または電極との間にアークを発生させ、その熱を利用して行う溶接の総称。
3アークスタッド溶接スタッド溶接とも言い、ボルト・丸棒などの先端と母材との間にアークを発生させ、溶融池の中に 押しつけて行う溶接。
4厚板/plate板厚が6.0ミリ~50ミリの板。または、6.0ミリ以上の板。ただし、厳密な定義はない。
5圧延/roll2本の回転ロールで材料を延ばしたり成形したりすること。この方法で作られた金属製品を圧延品という。また圧延機のことをミルともいう。
6圧造プレス鍛造ともいう。衝撃力で成形するのが鍛造であるのに対して、圧造はゆっくり力を加えて材料の中心部まで効果を及ぼす成形法である。
7圧粉焼結金型内に粉末を注ぎ、押し固めた後、金属の溶融温度より低い温度に加熱する。拡散現象を利用して密度を高め、製品を得る方法。
8アニール一定温度に加熱して成形によるひずみを除去する方法。焼鈍、焼なましと同じ。
9アルマイト/alumite「陽極酸化被膜処理」ともいい、アルミニウムに耐食性酸化被膜を施すこと。
10アルマイトタッチ跡アルマイト処理をする際に、材料をつかんでアルマイトをかけるがそのつかみ部分にはアルマイトがかかっていない。その部分のこと。
11アルミニウム合金軽量で耐食性に優れる。A5052、A6063などの種類がある。自動車部品や建材などに使用。
12アンダカット溶接の止端に沿って母材が掘られて、溶着金属が満たされないで溝となって残っている部分。この溶接欠陥は一般的に、溶接棒の保持角度、溶接速度の不適当、電流の高すぎなどによって生じる。
13インゴット/ingot精錬を終了した溶湯を鋳型に注入してできた鋳塊(ちゅうかい)のこと。熱間圧延や熱間押出のためにスラブ、ビレットに分塊される。
14鋳型(いがた)溶かした金属を流し込んで製品を成形するための型。鋳型の材質や構造は、製品の形状や製造方法によって異なる。
15鋳込み(いこみ)溶けた金属を鋳型に注ぎ込む工程を指す。鋳造の品質を左右する重要なプロセスであり、溶湯の温度や注入速度の管理が求められる。 適切な鋳込みを行うことで、製品の精度や強度が向上する。
16鋳物(いもの)溶かした金属を鋳型に流し込み、冷やして固めて作られる製品。鋳物により、複雑な形状の部品を効率的に大量生産することができる。自動車のシリンダーブロックや機械部品など、多くの分野で活用されている。鋳物は、鋳型の素材や製造方法により、砂型鋳造や金型鋳造など、さまざまな種類がある。鋳物の歴史は古く、弥生時代の銅鐸や東大寺の大仏などにもその技術が使われている。
17板鍛造プレス通常のプレス加工では材料板厚=製品板厚となるところを、工程内で部分的に鍛造過程を加え、板厚を増肉・制御する加工方法。これによりネットシェイプ、ニアネットシェイプが可能となり、後工程の切削等を削減しコスト低減も図ることが出来る。
18薄板/Sheet板厚が0.5ミリ~3.0ミリの板。または、3.0ミリ以下の板。ただし、厳密な定義はない。
19エッチング/etchingステンレスや銅板で主に装飾用に絵柄や模様を浮き彫りさせたような化粧板があるが、これはあらかじめシルク印刷した図柄を強酸により腐食させ、その腐食の強弱で絵柄の凹凸をつけているものでこの方法をエッチングという。
20塩水噴霧試験金属材料又は表面処理をした金属材料の耐食性を一定条件の食塩水噴霧にさらして調べる、促進腐食試験法の一つである。
21エンドミル外周面及び端面に切れ刃をもつシャンクタイプフライスの総称。
22エンボス/enbossアルミやステンレス板の地肌に圧着ロールで圧延し凹凸の模様をつけた化粧板で、主に建築用の装飾品に使われる。
23応力/Stress荷重=N(kgf)を材料片の平行部のはじめの断面積(mm2)で割ったものが応力である。
24応力除去焼鈍鋳造、焼入れ、機械加工などによる残留応力を除去するために加熱する焼鈍。
25応力・ひずみ曲線(S-S曲線)応力(stress)-ひずみ(strain)からS-S曲線ともいう。
26応力腐食割れ特定の腐食環境下において引張応力が共存すると割れを起こす現象である。
27オーステナイト/austenite面心立方格子のγ鉄に炭素(C)を最大2.1%まで固溶した固溶体組織で、727℃以上の高温で安定な組織であり、通常、常温では存在しない。しかし、オーステナイト生成元素のNi、Mnを多量に固溶すると常温においてもハチの巣のような六角形の結晶粒を示すオーステナイト組織が得られる。
28屋外暴露試験大気中での金属の耐食性を知るために、試験片を屋外で風雨にさらして行う腐食試験である。
29送り曲げ材料を送りながら回転ロールを押しあてて曲げる加工方法。この方法は、ロール曲げやロール成形(ロールフォーミング)などの技術に分類される。送り曲げは、連続的に板材を曲面状や円筒状に加工できる点が特徴。
30押さえ巻き曲げ材料の縁を押さえながら折り曲げる加工方法。加工にはフォールディングマシンなどのプレス機械が使われる。型曲げにくらべ、加工キズがつきにくいのが特徴。
31押出し(E)/extrude加熱したビレット(主に円柱形の鋳塊)をコンテナという筒の中に入れ、出口に求める形状に加工された金型(ダイス)を置き、圧力をかけて押し出す加工をいい(前方押出し、後方押出しがある)、通常押出性をよくするために熱間押出である。

か行

No.用語説明
32カーリング加工板材の縁を小さく丸める曲げ加工方法。製品の縁を丸めることで、見た目が良くなり、強度と安全性が向上する。
33開先加工開先は、溶接を行う前に溶接継手に設けるV字の溝状のくぼみのことを示す。このくぼみを作ることで板材の裏側まで溶接をすることができ完全に母材に溶け込むことで、非常に高い強度を得ることができる。また、母材の変形や歪みを抑えたいという場合に使用される溶接方法となっている。板金溶接の現場では、溶接個所によって開先加工と隅肉加工を使い分けている。
34加工硬化/work hardening「ひずみ硬]化」ともいう。鉛など特異な例を除き、金属に応力を与えると結晶のすべりが生じ、そのすべり面に対しての抵抗がだんだん増してくる。そしてその抵抗がある程度大きくなると他の面に順次移っていく(塑性変形)。
35加工硬化係数(n値)絞り加工性の目安にもなる特性値で、「n値」とも呼ばれる。降伏点以上の塑性域における応力σとひずみεとの関係(曲線)をσ=Cεnで近似させた時の指数nのことである。
36加工率%「冷間加工率」ともいう。加工硬化はその加工の程度によって硬さが変わってくる。これを利用してJISでは伸銅品の機械的性質の違いを規定している。
37ガスアトマイズ溶融金属の液滴に高圧の不活性ガスを吹き付けて噴霧し、粉末を得る方法。
38ガス窒化処理鋼をアンモニア雰囲気で500℃程度に加熱し、表面にできる窒化物を利用して表面を硬化する方法。
39ガスケットシリンダーヘッドとシリンダーの間にはさむ薄い型抜き板のことで気密性を高めるパーツ。
40ガス切断ガス炎で加熱し、金属と酸素の急激な化学反応を利用して行う切断。酸素ーアセチレン切断、酸素ー水素切断、酸素ープロパン切断、酸素ー天然ガス切断などの総称。
41ガス溶接ガス炎の熱で行う溶接。ガス炎としては主に酸素ーアセチレン炎が用いられる。 (このため酸素アセチレン溶接と称される)
42硬さ/hardness「一物体の硬さとは、これを他の物体をもって押しつけるとき、その物体の変形に対する抵抗力の大きさをもって規定する」との定義であるが、実際には「ブリネル硬さ(HB)」「ショア硬さ(HS)」「ロックウェルC硬さ(HRC)」「ビッカース硬さ(HV)」の値で比較して硬さを知ることになる。
43硬さ試験/hardness test材料の機械的性質の中で硬さを調べる試験で、押込み硬さ(HBブリネル硬さ、HVビッカース硬さ、HRロックウェル硬さなど)、反発硬さ(HSショア硬さ)の2種類に区分けされる。
44型曲げダイに乗せた板材をパンチで押し曲げる基本的な曲げ加工方法。製品の断面形状に応じて、V曲げ、U曲げ、L曲げなどに分類される。
45カットオフ値断面曲線から所定の波長より長い表面うねり成分をカットオフした曲線を粗さ曲線といい、この所定の波長をカットオフ値という。
46金型鋳造耐熱合金鋼で作られた金型を用いる鋳造法。金型を繰り返し使用できるため、大量生産に適している。また、溶湯の凝固速度が速く、寸法精度が高い鋳物が得られる。一方で、金型の製作には高いコストがかかり、形状の自由度が制限されることがある。代表的な技法として、ダイカスト鋳造法や金型重力鋳造法、低圧鋳造法などがある。
47逆火バックファイヤとも言い、ガス炎が突発的に火ロの中に逆行する現象(トラブル)。逆火により炎が消失したり、自動的に再点火することもある。
48凝固溶けた金属を冷やして固める工程。鋳造では溶融金属を鋳型に注ぎ、冷却して凝固させることで製品を形成する。 この過程で、冷却速度や凝固の仕方が最終製品の品質に大きく影響する。冷却が速すぎると内部に応力が生じ、ひび割れの原因となる。逆に、冷却が遅すぎると結晶粒が大きくなり、強度が低下することがある。適切な凝固管理が、高品質な鋳物製造の鍵となる。
49極小曲げ別名小R曲げとも呼ばれる。パイプの直径よりも小さいRで曲げた際に、その直径を維持しながら曲げを行う加工技術。この加工方法の特徴としては、従来の加工よりも小さいRでの曲げが可能になることでパイプの取り回しの自由度が高くなること、ボス加工の工程を省略することができるため大幅なコストダウンが実現できることである。
50クラック材料の外面又は、その全厚さを貫通しているか又は貫通していない割れ目。製品の表面から内部に広がった裂け目。
51クラッド材/clad plate強さを増したり耐食性を向上させたりするために、ある金属に他の金属を加圧接着や圧延によって合わせ板にしたもので、被覆材の一種である。ジュラルミンに純アルミを合せたアルクラッドなどがある。
52クリア耐候性を増す目的でアルマイトの上に施される透明な塗装。
53クリープ強さ/creep strengthクリープとは一定の応力(荷重)を加えたときの材料変形が時間の経過とともに進行する現象をいう。
54クレータアーク溶接のビードの終端にできるくぼみ。なお、溶接中に溶融池の一部がアークカなどによって掘られてくぼんだ部をクレータと言うことがある。
55黒皮ミルスケールとも言う。高温空気中で加熱された鉄鋼表面に、厚く成長した酸化物層。
56ケーク/cake「スラブ」ともいう。板、条製造用の厚い板状になった鋳塊のことをいい、主に円柱形の鋳塊(=「ビレット」)と区別されている。
57結晶粒/grain金属は多くの微少の結晶からできている多結晶体であり、その結晶の一つ一つを結晶粒という。
58小板定尺銅、真中は巾365ミリ×長さ1200ミリが主で、りん青銅、洋白は巾180ミリ×長さ1200ミリ、アルミは巾400ミリ×長さ1200ミリの板のことを小板と呼んでいる。尚ステンレスには小板定尺はない。
59コイニングベンドV曲げの一種で、パンチを高い圧力で押し込む加工方法。「圧印曲げ」とも呼ばれる。高い圧力で成形するため、スプリングバック(板の反り)が少なく、曲げR(角の丸み)も小さくなり、精密な曲げ加工が可能。
60コイルカット品ステンレス業界ではメーカーが供給する定尺板を「一級シート」又は「メーカー定尺」と言い、流通コイルセンターのコイルカット品を、それと区別する意味でCC板(コイルカット)と呼んできた。しかし、いずれもコイルから切断して定尺板を製造するため、特に区別することも少なくなってきている。
61高圧ガス容器高圧ガスボンベやボンベとも言い、アセチレン、液化ガスなどの高圧ガスを充てんするための金属製容器で、高圧ガス保安法に準拠した構造の物。容器内の高圧ガスの種類を識別するため、容器の肩または全面に下記に示す所定の色が塗られている。・酸素ガス=黒色 ・水素ガス=赤色 ・液化炭酸ガス=緑色 ・液化アンモニア=白色 ・液化塩素=黄色 ・アセチレンガス=かっ色 ・その他の種類の高圧ガス=ねずみ色
62光輝焼鈍光沢のある金属表面を保つために、表面の酸化を防ぎながら焼きなましを行う処理。
63工具鋼硬度や耐摩耗性に優れる。工具や金型などに使用される。
64合金鋼特定の元素を添加して特性を向上させた鋼。強度や耐熱性などの特性が必要な部品に使用。
65光輝焼鈍(BA)/bright annealing「光輝焼なまし」ともいう。光沢のある金属表面を保つために、表面の酸化脱炭を防ぎ、還元または中性ガスあるいは真空中で加熱し、焼きなましをすることを光輝焼鈍という。
66硬質アルマイト/hard anodized aluminiumアルミニウム及びアルミニウム合金の表面処理で、陽極酸化被膜(アルマイト)処理のうち、硬度(HV)350以上のものを硬質アルマイトと呼んでいる。
67高周波抵抗溶接コンタクト(接触子)を介して200Kc~2Mcの高周波電流を直接母材に流し、母材を部分的に加熱、加圧して接合する抵抗溶接の一種である。
68孔食/pitting corrosionすきま腐食の一種であり、「点食」ともいう。
69降伏点/yield point引張試験の途中で応力(引張荷重)が急に低くなり、その後応力が大きくならないで伸びが進むという現象が起こる。その転機の応力Wを試験前の材料片の断面積Aoで割った値を降伏点という。
70極厚板板厚が50ミリを超える板のことをいうが、厳密な定義はない。
71極薄板板厚が0.3ミリ~0.5ミリの板のことをいうが、厳密な定義はない。
725’×10’板(ゴトウ)巾1524ミリ×長さ3048ミリ(アルミ板では1525ミリ×3050ミリの場合もある)の板をいう。巾5尺×長さ10尺なので、ゴトウ板と呼ばれている。
73固溶化熱処理合金において、一般に温度が高くなるほど基本金属に加える合金元素は溶け込みやすくなる。したがって、合金固有の温度に加熱した後急冷すると、低温では析出するはずの合金元素が固溶(溶け込み)したままとなる。これを固溶化処理といい、オーステナイト系ステンレスではJISでも固溶化熱処理したもので機械的性質を決めている。
755面加工機ユニバーサルヘッド(旋回工具)を搭載した門形マシニングセンタである。 工具の角度を変えることで、ワークの上面と側面の合計5面を一度の段取りで加工できる。これにより、ワークの交換時に位置ズレが生じず、高い加工精度を実現する。大型の金型や複雑な部品の加工に適しており、例えば大型船舶のプロペラ加工に特化した「翼面加工機」などの大型機械も存在する。従来のマシニングセンタにユニバーサルヘッドを追加することで、5面加工に対応させることも可能。
765軸加工機マシニングセンタの3軸(X/Y/Z)に、回転と傾斜の2軸を加えた切削加工機である。これにより、複雑な3次元曲面やアンダーカットの加工が可能になる。航空機のインペラやタービンブレードなどの製造に適しており、加工面の多い金型の高速加工にも効果を発揮する。5軸加工機には、同時に5軸を動かす「同時5軸加工」と、回転軸を固定して加工する「割り出し5軸加工」の2種類がある。同時5軸加工では、複雑な形状の加工に対応できるが、高度なNCやCAD/CAMの導入が求められる。一方、割り出し5軸加工は、1回の段取りで多面加工が可能となり、作業効率の向上が期待できる。ただし、どちらの場合も作業者の技術や知識が加工品質に大きく影響する。
775軸マシニングセンタ3軸(X/Y/Z)に加えて、回転と傾斜の2軸を組み合わせた工作機械である。これにより、複雑な形状や多面体の加工が可能になる。例えば、航空機のインペラや発電機のタービンブレードなど、滑らかな曲面を持つ部品の製造に適している。また、金型の精密加工や自動車部品の工程集約にも効果を発揮する。5軸マシニングセンタを活用することで、1回の段取りで多面加工ができ、加工精度の向上や生産性の向上が期待できる。さらに、工具を傾けることで短い工具の使用が可能となり、安定した加工が実現する。
785軸加工マシニングセンタの3軸(X/Y/Z)に回転と傾斜の2軸を加えた切削加工である。5軸加工により、従来の3軸加工では難しかった3次元曲面やアンダーカットの加工が可能になる。例えば、インペラやタービンブレードなどの滑らかな曲面を持つ部品や、多面加工を必要とする金型の加工に利用される。5軸加工には、同時に全ての軸を動かす「同時5軸加工」と、あらかじめ位置決めを行う「割り出し5軸加工」の2種類がある。それぞれが異なる特徴を持ち、用途に応じた選択が重要である。
79混合型5軸加工機械テーブルと主軸の両方に回転・傾斜軸を組み合わせた5軸加工機械。この構造により、テーブル型や主軸型の利点を併せ持ち、複雑な形状のワークでも柔軟に対応できる。例えば、航空機部品や金型などの精密加工に適しており、1回の段取りで多面加工が可能。ただし、機械の構造が複雑になるため、導入コストやメンテナンス面での考慮が必要となる。

さ行

No.用語説明
80サービスヘアーステンレス(C)平棒に多い仕上面で、通常2面(4面の場合もある)にHL研磨(150#~250#研磨)を長手方向に施した表面仕上。HL平棒と区別することもあり、サービスヘアーと呼ばれている。
81サーフェス仕上げ圧延後、面削仕上げをした板。
82再結晶/recrystallization冷間加工によって加工硬化した材料をある温度まで加熱すると急に軟化する。これは、加工によって変形した結晶が、多角形の細粒に分割結晶するためで、増加していた転移も消滅し、結晶粒は内部ひずみを持たない安定したものとなる。
83サブゼロ処理/subzero cooling焼き入れしたものをすぐに0℃以下(実際には-80℃ぐらい)に再急冷する処理をいう。
843’×6’板(サブロク)巾900ミリ×長さ1800ミリの板を言う。3尺×6尺からとってサブロク板と呼ばれている。建材向けに多いサイズである。
85酸洗「脱スケール」ともいう。熱間圧延後熱処理すると、表面にスケール(scale)という加熱による酸化被膜ができる。これを酸の液中に通して取り除くことを酸洗という。酸洗後は十分に水洗いして乾燥させ、そのまま製品となるか、次工程(冷間圧延など)に送られる。
86サンドブラスト圧縮空気や遠心力などで砂または粒状の研磨材を加工物に吹きつけて行う研磨方法である。
87残留応力/residual stress「内部応力」ともいう。鋳物の例でいうと、溶湯は型形状の細かい部分や表面部から冷えて先にかたまり始めるが、内部では後から冷えて収縮しようとする。その際、すでにかたまった外部には内に引張られて縮もうとする力、内部には外部に引っ張られる力が残る。こうした金属内部に残留する応力のことを「残留応力」という。
88シーム溶接ローラー電極で2枚の母材をはさみ、電極を回転させながら加圧・通電して接合する方法で、スポット溶接(点溶接)が連続して行われる溶接方法である。
89ジグボーラーミクロン単位の精密加工を行う高精度なNC中ぐり盤。もともとは、精度が求められる治具の穴あけ専用機として開発されたが、NC技術の進化により汎用的に使用されるようになった。主軸の位置決めや芯出しを精密に行うことができ、金型や機械部品の精密中ぐり加工に活用されている。
90ジグ中ぐり盤ミクロン単位の精密加工に用いられる高精度なNC中ぐり盤。元々は、高精度が求められる治具の穴あけ専用機として開発されたが、NCの進化により、金型や機械部品の精密中ぐり加工にも広く活用されている。例えば、精密な金型の製造では、ジグ中ぐり盤を使用して高精度な穴あけ加工を行うことで、成形精度の向上に寄与する。
91時効処理固溶化処理後、時効によって過飽和の母相の固溶体から第2相を析出させる熱処理。
92自然発色膜染料や顔料を用いないで、素材の組成、材質および電解・化学反応条件により発色させた被膜のこと。
93自動アーク溶接溶接ワイヤの送りが自動的にでき、連続的に溶接が進行する装置を用いて行うアーク溶接。 サブマージアーク溶接とガスシールドアーク溶接などは、自動溶接方式として広く利用されている。
944’×8’板(シハチ)4尺×8尺からとって、シハチ板という。ステンレスでは巾1219ミリ×長さ2438ミリの板、伸銅品、アルミでは巾1250ミリ×長さ2500ミリの板をいうのが一般的である。前者を小シハチ、後者を大シハチということもある。
95絞り加工/ironingアルミ缶や鍋のように底のある容器を素板から押し出す加工法で、深絞りの場合は数回に分けて再絞りされる。また壷のような曲面の加工は、へらや型を使うへら絞り(spinning)という方法もある。
96絞り加工性板などの素板から底のある容器を押し出すとき、その変形のたやすさ。
97縞板「チェッカープレート」ともいう。板の片面に凸模様のすべり止めをつけた板で、縞溝のある圧延ロールで圧延する。ちなみに板厚は凸部ではなく平面部の厚みをいう。
98射出成形/injection mold素材を鋳型に注入して造形する方法のことをいうが、もっぱらプラスチックの成形方法のことを指す。
99シャフト機械・車などの回転軸。または、道具、工具の長い柄のこと。
100シャーリング加工シャーリングマシン(せん段機)を使用して板金を特定の形状に切断する加工方法。 シャーリングマシンには、上刃と下刃が搭載されており、上下から材料に圧力をかけることで、板金をせん断する。 下刃は板金に対して水平形状であるが、上刃は角度がついているため金属を直線的に切断することが可能となる。
101主軸移動型旋盤加工ワークを回転させながら前後に動かすNC自動旋盤。ワークをガイドブッシュで支えることで、細長いバー材でも安定した加工が可能。この機械は、時計部品の精密加工用としてスイスで誕生した。
102主軸型5軸加工機械主軸に回転と傾斜の2軸を追加した5軸加工機械。ツールを旋回させながら加工を行うため、テーブルは固定され、重たいワークでも安定した加工が可能。またテーブルを広く使用できるため、大きなワークの加工にも適している。ツールが軽量なため軸の制御が安定していますが、長いツールを使用すると軸の誤差が増え、加工精度が低下する場合がある。 大型の門型タイプが一般的である。
103ショットブラスト圧縮空気または遠心力などでショット=shot(鋼粒)やカットワイヤなどを加工物に吹きつけて行う研摩方法。美観、塗装下地または酸洗の前工程で行われる。
104順送型プレス加工は大きく短工程加工・トランスファー加工・順送型加工(プログレ加工)の3種類に分けられる。順送型は1つの金型の中で2つ以上の工程(抜き打ち・穴あけ・せん断・曲げ加工・絞り加工など)を行なう。そのため単発型の加工に比べて生産性が高くなるというメリットがある。
105ジェミニー試験焼入材の焼入性を試験する方法。求められた硬さの値で、最高値と最低値を帯状範囲で示したものをHバンドともいう。
106除去加工金属から不要な部分を取り除いて形作る加工方法。具体的には切削加工や研削加工などがこれに該当する。
107シリコロイ炭素の代替としてSiを多く含み、硬度と耐食性を両立させたステンレス鋼のこと。
108真空蒸着高真空中で、金属、合金または化合物を蒸発させ、基板表面上に凝固、堆積させる方法。この方法によれば電気的に不導体である布、紙、プラスチックやガラスの上にも金属の蒸着が可能である。
109浸炭処理金属表面に炭素を浸透させて表面硬化を行う処理。歯車やシャフトなどの耐摩耗性向上に使用。
110靭性(じんせい)/toughness物質のねばり強さを技術用語で「靭性」という。引張試験での「伸び」の大小とは直接関連しないが、衝撃にあっても割れにくい性質であるため、衝撃試験の数値が大きければ、一般にねばり強いといえる。
111浸透探傷試験微細な傷に着色した液体を浸透させ、傷を顕在化することにより、傷を見つけやすくする検査方法。
112巣(す)鋳物の中にできた小さな気孔を指す。鋳造工程で溶けた金属を型に流し込む際、冷却過程でガスが発生し、金属内部に気泡が残ることがある。これが巣の原因。巣が多いと、製品の強度や耐久性に悪影響を及ぼすため、鋳造条件の最適化や適切なガス抜き対策が重要。例えば、鋳型の設計を工夫し、ガスの逃げ道を確保することで、巣の発生を抑えることができる。
113水素脆性(すいそぜいせい)鋼に水素が入ると分子間に細かい亀裂ができてもろくなる。またタフピッチ銅は酸素を0.02~0.05%残した99.9%以上の純銅であるが、水素を含む還元気体中で400℃以上に加熱すると銅中の酸化銅が還元されて水蒸気を生じこの圧力で細かな亀裂が生じもろくなる(水素ぜい化)。但しこの現象はりん脱酸銅、無酸素銅には見られない。
114スウェージング/swaging棒や管を絞ってテーパーにするような加工をスエージングという。
115スウェージング加工スウェージング加工は別名回転冷間鍛造加工と呼ばれる。ダイスと呼ばれる分割された金型を回転させ、パイプの一部分を連続的に叩きながら外径を絞り伸ばしていく加工のこと。金属を削らない加工なので、母材が少量で済むため生産コストを抑えることができる。パイプは鉄・アルミ・SUS・真鍮など様々な材質に対応することができる。
116すきま腐食構造的に形成されたすき間の内部が腐食される現象であり、特にステンレス、アルミに多い。材料の合わせ目、溶接部、ごみや付着物の下などがすき間となる。
117スキンパス最終製品の焼純酸洗後あるいは光輝焼純後に、帯鋼の形状を矯正し、表面光沢を良くするために行なう軽い圧延のことである。製品としては、ステンレス(H)平棒にスキンパス肌のものがある。表面は2B材に近い。
118スケッチサイズ定尺寸法(小板、3’×6’板、1×2板、4’×8’板、5’×10’板など)以外の巾×長さの板をスケッチサイズという。
119ストリップ/strip広幅の帯鋼のことで巾500ミリ超えのものをストリップという。巾500ミリ以下はフープという。
120ステンレス鋼耐食性を向上させる目的で、クロム又はクロムとニッケルを含有させた合金鋼。一般的にはクロム含有量が約10.5%以上の鋼をステンレス鋼といい、主としてその組織として、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系、オーステナイト・フェライト系および析出硬化系の五つに分類される。
121砂型(すながた)砂を固めて作る鋳型のこと。低コストで複雑な形状の製品に適している。一方、鋳型を壊して製品を取り出すため、大量生産には不向きである。また、凝固が遅く、製品の強度に影響を及ぼすことがある。
122スパッタアーク溶接、ガス溶接、ろう接などにおいて、溶接中に飛散するスラグおよび金属粒。主として溶接アークの安定性に関連し、不安定なアークほどスパッタは多くなり、スパッタの一部は母材表面に固着し、これは除去しなければならない。スパッタが多いと溶接作業を著しく困難にする。
123スプリングバック金属の曲げ加工後に材料が元の形状に戻ろうとする現象。このため、意図した角度よりも開いた形状になることがある。特に自由曲げでは、低い圧力で成形するため、スプリングバックが大きくなり、曲げ精度が低下する。一方、コイニングベンド(圧印曲げ)のように高い圧力で成形する方法では、スプリングバックが少なく、精密な曲げ加工が可能となる。
124スポット溶接溶接する鋼材を上下から冷却された電極で挟むようにして圧力を加えるとともに、電流を流すことで加熱を行い 冷却時の再凝固によって溶接する加工方法。 他の溶接方法と比べると溶接をする際の消費電気エネルギー量(溶接入熱)が少なく鋼材に与える歪みが少なく なる。 他にも溶着速度が速く大量生産に向いている事や、作業員の習熟度が低くても完成品に大きな差が生まれないといったメリットも ある。
125スラグ(ノロ)溶接部に生じる非金属物質。すなわち、溶接ビードの表面を覆う非金属物質で、被覆材のうちでガス発生物質以外のフラックスや分解生成物がスラグとなる。
126スラグ除去溶接後、ビードの上にかぶったスラグを溶接ハンマーを用いて取り除くこと。
127成形加工板材を曲げたり形状を変えたりする加工方法。この加工は「曲げ加工」に分類されるが、「絞り加工」の要素も含まれる。主な種類として、フランジ成形、バーリング加工、カーリング加工がある。フランジ成形は、板材の端を立ち上げる加工で、補強や接合に使用される。バーリング加工は、板材に開けた穴の縁を押し広げて立体的に成形する技術。カーリング加工は、板材の縁を巻き込んで安全性や強度を向上させる方法。これらの成形加工は、機能性や安全性を高めるために幅広く活用されている。
128精密中ぐり盤穴の内面を鏡のように仕上げるためのNC中ぐり盤。超硬やダイヤモンド製のバイトを用いて、ミクロン単位の精度で高速切削を行う。エンジン部品や軸受けなど、高精度が求められる内径の仕上げに活用されている。主軸の向きにより「横形」と「立形」があり、大型の金属加工では、ワークの安定性と工具のたわみを抑えるために「立形」がよく使用される。
129旋盤加工(旋削)工作物を回転させ、固定された工具を当てて切削する。円筒形状の加工に適している。
130塑性(そせい)加工製造業における加工で広く取り入れられている。被加工材に機械的力を加えて変形させ、力を取り除いた後も変形が残る性質を利用して所定の形状や寸法に成形するといったもの。塑性加工は常温で行う冷間鍛造加工と加熱をしながら行う熱間鍛造加工の2種類に分かれる。また塑性加工の方法としては、鍛造加工・圧延加工・絞り加工・引き抜き加工・板金加工・曲げ加工・板金加工などが挙げられる。

た行

No.用語説明
131タップ内ネジを切る工具。ドリルで開けた穴にネジの溝を作る。
132ターンミラー主軸が縦向きのNC立旋盤の別名。重いワークをテーブル上に水平に配置し、安定した加工を実現する。例えば、ガスタービンや発電機ポンプなどの大型部品の加工に適している。また、ATC(自動工具交換装置)を搭載した機種では、ドリルや回転テーブルと組み合わせることで、マシニングセンタやターニングセンタに近い多様な加工が可能。ターンミラーは大型で重量のある部品の高精度加工に欠かせない工作機械である。
133耐食性/corrosion resistance代表的な技法には、生砂型鋳造法やロストワックス法があり、それぞれ用途に応じた特徴を持ちます。
134耐熱性/heat resistance高温においても強度があり、酸化してもろくなりにくい性質のことを耐熱性が良いという。
135耐疲労性繰り返し荷重に耐える強度のことをいい、「疲れ強さ」で表わす。また疲れ強さを引張強さで割った比率を疲れ比という。
136耐摩耗性/wear resistance耐摩耗性は、硬さと密接な関係にあり、一般に硬度の高いものは耐摩耗性も高いといえる。
137ダイキャスト/die casting圧力を加えた溶湯を金型に注入して成形する代表的な鋳造法である。寸法精度がよく、鋳造肌も機械仕上と同程度に上がり、量産に適している。
138ダイス線引用ダイスにはチルドダイス、スチールダイス、タングステンダイス、ダイヤモンドダイス、硬質合金ダイスなどの種類がある。
139ダイセットプレス加工における治具の一種で、抜き型や曲げ型のポンチとダイスをプレス機に取付けるためのパンチホルダーと、ダイホルダーの2枚以上のプレートと、支柱(ガイドポスト)から成っており、各種タイプが標準化されている。
140多軸自動旋盤複数の主軸を持つNC自動旋盤。4軸、5軸、6軸、8軸、12軸などのタイプがあり、各主軸が同時に異なる工程を担当する。例えば、4軸タイプでは、ワークの着脱、旋削、穴あけ、中ぐりの4つの工程を分担し、4つのワークを回転移動させながら同時に加工する。これにより、刃物を効率的に使用でき、サイクルタイムの短縮が可能となる。多軸自動旋盤は、ベアリング部品や自動車部品などの小型精密部品の大量生産に適している。
141たれ片面溶接の場合に開先を突き抜けて、また両面溶接の場合すでに肉盛りされた側の溶接金属を突き抜けて、飛び出した余分な溶接金属。
142炭素鋼炭素含有量によって軟鋼、中炭素鋼、高炭素鋼に分類。汎用性が高く、様々な製品に使用される。
143単発型プレス加工は大きく短工程加工・トランスファー加工・プログレ加工(順送型加工)の3種類に分けられる。短工程加工には単発型と複合型が存在する。単発型は1つの工程を1つの金型で行うようになっており、もともとは人の手によってプレス機を操作する事を前提として作られている。
144鍛造(F)/forging金属をたたいて成形することを鍛造という。小ロット品や単純形状、あるいは大物などは任意に方向や角度を変えて成形(たたく)する「自由鍛造(フリー鍛造):記号はFH(forging hand)」で作られ、金型を使って型打ちする「型鍛造:記号はFD(forging die)」は量産品や、複雑な形状、小物に利用される。
145チッピング刃こぼれ、小さな欠け。
146チタン合金軽量で強度と耐食性に優れる。航空宇宙部品や医療機器などに使用。
147千鳥板千鳥格子もようの板。
148中板板厚が3.0ミリ~6.0ミリの板のことをいうが、厳密な定義はない。
149抽伸(ちゅうしん)熱間押出しした棒や管を所定の長さに切断し、一端を細く口付した後、酸洗などで表面の酸化物を除き、ドローベンチでダイスを通して引き抜くことをいう。
150鋳造/casting金属を溶かして鋳型に流し込んで冷却、凝固したものが鋳物であり、この成形方法を鋳造という。中空品や、複雑な形状品を一挙に成形量産できる利点がある。鋳造には、「砂型鋳造」や「金型鋳造」などの種類がある。砂型鋳造は低コストで複雑な形状の製品に適し、金型鋳造は高精度な大量生産に向いている。
151超極薄板板厚が0.1ミリ~0.25ミリの板のことをいうが、厳密な定義はない。
152超塑性加工超塑性は、個体を高温域で一定の歪み速度で変形させたとき200%以上に伸びる現象のことを示す。超塑性加工はこの現象を用いた加工方法のことを示しており、鍛造などの塑性加工をする方法が実用化されている。 超塑性の変形特性としては、変形抵抗・流動応用が超塑性温度・低歪み速度において著しく小さいこと等が挙げられる。被加工材としては、ニッケル基超合金・高強度難加工材などが挙げられる。
153直接金属レーザー焼結法敷きつめた金属粉末(パウダー)にイッテルビウムレーザーを照射し、焼き固める造形方法。SLS(Selective Laser Sintering)とはレーザーの原理が異なり、DMLS(Direct Metal Laser Sintering)と呼ばれる。高出力で安定性に優れるため、より精密な造形が可能。直接金属レーザー焼結法は、金属3Dプリンターの造形方法のひとつとして、複雑な部品形状の再現や軽量化、機能アップに役立てられている。例えば、ボーイングのエンジン部品やオーダーメイドの医療器具の生産にも実用化されている。
154疲れ限度/fatigue limit金属を繰り返し折り曲げると、引張って切れるよりはるかに小さな力で破断する。これを疲れ破断と言う。
155低温脆性(ていおんぜいせい)鋼は-20~30℃で急激にもろくなる特性がある。これは特にりん(P)の成分の多い鋼種に多く現れる。またアルミニウムは、超低温範囲に至るまで低温脆性を示さない。
156テーブル型5軸加工機械テーブルに回転と傾斜の2軸を追加した5軸加工機械。テーブル上のワークを旋回させながら加工を行うため、精密な金型や小から中程度のサイズの部品加工に適している。剛性が高く、加工精度が優れている点が特徴。また、主軸の動きや座標が理解しやすく、操作性に優れていることも利点である。一方でテーブルの複雑な動作が必要なため、重たいワークの加工には不向きである。さらにテーブルの旋回軸から離れると加工精度が低下する場合がある。
157転造硬質のダイスを円筒形の素材に押しつけながら転がし、成形する加工法を転造といい、冷間転造が一般的である。ねじや歯車によく使われ、真中のローレット材などは転造品である。
158展延性金属の塑性(力を加えると元に戻らない性質)のことで、展(=ひろげる)延(=のばす)加工により薄板、箔、深絞りや線の製造に利用できる性質のこと。
159電子ビーム溶解法金属3Dプリンターの造形方式のひとつ。敷き詰めた金属粉末に電子ビームを照射し、溶かしながら層を重ねていくことで、複雑な形状の部品を造形する。電子ビーム溶解法は、EBM(Electron Beam Melting)とも呼ばれる。真空中で電子ビームを照射するため、レーザーに比べて高出力で、高速な造形が可能です。加工温度は約1000度に達する。造形後は余分な粉末を除去して部品を取り出す。
160同時5軸加工3軸(X/Y/Z)と2軸(回転/傾斜)を同時に動かす加工方法。これにより、3次元の曲面やアンダーカット(隠れた加工面)の加工が可能になる。
例えば、航空機のインペラや発電機のタービンブレードなど、複雑な形状の部品の製造に適している。同時5軸加工を行うには、精密な制御が可能な5軸加工機と高度なプログラム技術が求められる。
161トーチガス炎、ガスシールドアーク、プラズマアークなどを利用して金属、その他の材料の加熱、溶接および切断を行うときに用いる器具。用途によって溶接トーチ、切断トーチなどと呼び、ガス炎を用いる場合には吹管、ブローパイプとも言う。
162銅合金電気・熱伝導性に優れる。真鍮、青銅などの種類がある。電気部品や配管などに使用。
163トランスファー型単発型を一列に並べて同期をさせて自動搬送設備を用いることで生産性を向上させたプレス加工方法に用いるプレス金型のこと。
164ドローベンチ線、棒、管などを引抜くとき使用するダイスやドローヘッドを保持するスタンドをいう。

な行

No.用語説明
165内部応力/internal stress「残留応力」の項を参照のこと。
166中子(なかご)鋳物の内部に空洞を作るために用いる鋳型の一部。鋳造時、溶けた金属を型に流し込む際、内部に中子を配置することで、所定の中空構造を形成する。これにより、複雑な内部形状や軽量化が求められる部品の製造が可能となる。
167中ぐり加工ドリルで開けた下穴をさらに広げる加工方法。ボーリング加工とも呼ばれ、ボーリングバーという工具を用いて、穴の内面を削る。中ぐり加工は、エンジン部品のような精密な穴加工に欠かせない。加工中は、切粉の排出が重要で、深い穴や薄肉の部品では、工具の振動によるびびり(共振)を防ぐ工夫が求められる。中ぐり加工には、専用のNC中ぐり盤や、さまざまなNC工作機械が使われる。
168ナマシ適当な温度に加熱し、その温度に保持した後、徐冷する操作。
169抜き加工板状の金属材料を取り扱う鈑金加工において、材料から特定の形状に抜き出すことを抜き加工という。 一般的には、板材を金型で抜く方法と、レーザで抜く方法がある。 比較的単純な形状や板厚3.2mm以下の材料は金型を使用して抜く(切断)タレットパンチプレス機を用いる。 複雑な形状や板厚4.5mm以上の材料はレーザ加工機を用いる。 またタレットパンチプレスとレーザの機能を融合したパンチ・レーザ複合マシンもある。 上記3種類の抜きマシンを駆使し最適な工法で加工を行なう。
170熱間圧延/hot roll「圧延」の項を参照のこと。
171熱間加工(H)再結晶温度以上で行われる加工を熱間加工という。熱間圧延、熱間押出し、熱間鍛造などがある。
172熱処理合金/heat-treatable alloyアルミニウム合金の分類で焼入れ(溶体化処理)、焼戻し(人工時効硬化)などにより所定の強度を得る合金で、展伸材では2000番系、6000番系、7000番系の合金がこれにあたる。
173熱電対異種の金属線間に生じるゼーベック効果を利用して温度を測定するもの。
174熱伝導率/thermal conductivity距離1cmについて1℃の温度差がある場合に1cm2の断面を通って1秒間に伝わる熱量をいい、数値が大きいほど熱伝導性はよい。cal/℃・cm・secまたは(cgs)
175熱溶解積層方式金属を加熱して溶かし、ノズルから押し出して一層ずつ積み重ねる造形方法。熱溶解積層方式は、金属3Dプリンターで利用される技術のひとつで、特に小型部品の試作や修理に適している。構造がシンプルで、比較的低コストで導入できる点が特徴。また、異なる金属を組み合わせることで複合材料の造形も可能で、耐久性や耐熱性を向上させる応用が進んでいる。
176伸び(%)/elongation引張試験において試験片が破断した時の伸びた長さを試験前の長さで割った百分率(%)。

は行

No.用語説明
177パーシャルベンディングV曲げの一種で、パンチを途中で止めて曲げ角度を調整する加工方法。ひとつの金型でさまざまな角度に対応できるため、「自由曲げ」とも呼ばれる。圧力が低いため、曲げR(角の丸み)やスプリングバック(板の反発)が大きく、曲げ精度は低くなる。
178バーリング加工板材に縁つきの穴をつくる曲げ加工方法。まず、板に下穴をあけ、その穴にパンチを押し込み「縁」をつくる。バーリング加工により、薄い板に立体的な穴ができ、ネジ穴や軸受けとして利用できる。また、下穴を開けずにパンチを直接押し込む「突っ切りバーリング」とよばれる工法もある。
179バイト旋盤加工で使用する工具。外径加工用や内径加工用など様々な種類がある。
180パウダーベッド方式金属3Dプリンターの造形方法のひとつ。金属粉末(パウダー)を敷きつめ、その上に熱エネルギーを照射して焼き固め、層を重ねていくことで立体物を形成する。熱源としては、レーザーや電子ビームなどが用いられる。パウダーベッド方式は、複雑な形状の部品を高精度に造形できるため、航空学や医療分野での部品製造に適している。また複雑な内部構造の再現も可能。ただし、造形後の表面は粗くなることがあり、研磨などの後処理が必要となる場合がある。
181パス(溶接パス)溶接継手に沿って行う1回の溶接操作。つまり、グルーブ内、溶接金属の上、あるいは母材表面を溶接する場合の1回当たりの溶接操作。パスの結果できたものがビードあるいは肉盛金属である。※グルーブ=開先
182箔/foil厚みが0.01ミリ~0.1ミリのものをいう。
183バフ研磨布製あるいは適当な物質の研磨輪を用いて光沢を出す研磨方法。
184バレル研磨材料を研磨剤とともに回転させるか又は振動容器に入れて研磨する方法で、乾式と湿式がある。バリ取りまたは美観を目的に行われる研磨方法。
185半自動アーク溶接半自動溶接とも言い、溶接ワイヤの送りが自動的にできる装置を用い、溶接トーチの操作は手で行うアーク溶接の総称。被覆アーク溶接などに比べて、溶着速度が大きく高能率である。炭酸ガスアーク溶接、マグ溶接、ミグ溶接、ティグ溶接などがそうである。
186ビード溶接ビードとも言い、1回のパスによってつくられた溶接金属または溶着金属。
187火口ガス溶接・切断トーチの先端にあって炎をつくる部分。溶接火口、切断火口などがある。
188引抜き(D)/drawあらかじめ求める形状に加工された金型(ダイス)に通し、引き抜くことを引抜き加工と言う。
189引張試験/tensile test引張試験はJISZ2241-1980に規定された方法に従って、降伏点、○耐力、○引張強さ、○伸び、絞りなどを求めるもので、○印はミルシートにも記載されている。また、比例限度・弾性限度・弾性係数なども測定できる。
190比重/specific gravity密度ともいう。20℃、1cm3の水の重さ1gに対して同温、同体積の物質の重さの比を示す。
191比電気率抵抗(比抵抗)/specific resistance長さ1cm 断面積1cm3の物質の電気抵抗をいう。またこの比電気抵抗の逆数を比電導度または導電率という。一般に高温となるほど抵抗は増す。(μΩ/cm)
192比導電度導電率のことをいい、電気比抵抗率の逆数である。
193比熱/specific heat1gの物質の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量をいう。(cal/g℃)
194被覆アーク溶接被覆アーク溶接棒を用いて行う溶接。すなわち、被覆アーク溶接棒を電極として行うアーク溶接。手溶接の代表的なもので、半自動アーク溶接や自動アーク溶接に比較して溶接操作が簡単であるが、溶接能率は低く、溶接の品質が作業者の技量に大きく左右される。
195ピンホール鋳物の内部や表面にできる小さな気泡のこと。鋳造時に金属が冷える際、ガスが抜けきれずに残ることで発生する。見た目にはわかりにくいが、腐食や強度低下の原因になるため注意が必要。なお、大きな空洞ができる場合は、ブローホールと呼ばれる。ブローホールはより深刻な鋳造不良であり、強度や密度に大きな影響を及ぼす。
196ファイバーレーザ溶接非接触加工、局所加熱、ビームの小径スポットとエネルギー密度により、ビード幅に対する溶け込みが Tigよりも深く、焼けや歪みが少ない高品質な溶接が可能となる。 ファイバーレーザは従来の溶接技術とは違い、高い溶接品質、高出力によるスピード溶接、異種金属との接合等多用途なレーザである。 ガルバノスキャナーを搭載することにより、ハイスピード溶接も実現可能となる。 
197付加加工AM技術(Additive Manufacturing)とも呼ばれる金属加工技術のひとつ。主に金属3Dプリンターを用いた積層造形が代表例としてあげられる。金属3Dプリンターでは、金属粉末をレーザーで焼き固めながら層を重ねることで、複雑な形状の部品を造形する。これにより、破損した金属部品の修理や、従来の切削加工では困難だった3D構造の複雑な加工が可能となる。新しい金属加工方法として注目され、製造業の現場での活用が進んでいる。
198ブローホール鋳物の内部にできる大きな空洞のこと。鋳造時に金属が冷える過程でガスが抜けきれず、空気の泡が残ることで発生する。強度の低下や破損の原因となるため、鋳造条件の最適化やガス抜き対策が必要。
199フライス加工(転削)工具を回転させ、固定された工作物を削る。平面や溝、複雑な形状の加工に適している。
200ブラスト処理研磨材を高速で吹き付けて表面を加工する処理。表面の清浄化や粗面化を目的とする。
201プラズマ電子(または負イオン)と正イオンの濃度が等しく、空間電荷はゼロであるようなイオン化されたガス状媒質。すなわち、気体を数千度の高温に加熱すると、その中のガス原子が原子核と電子に遊離して、正負のイオン状態になる。これをプラズマと言う。
202プラズマアーク機械的・電気的に収束させたプラズマ性を持つアークで、高密度の熱を発生させるために用いられる。
203プラズマ切断プラズマアークの熱および気流を利用して行う切断。つまり、小孔径の冷却ノズルによって拘束された高温高速のプラズマ気流によって、母材を溶融、除去して行うアーク切断。各種金属のほか、コンクリート・耐火材料など高融点の非金属の切断にも適している。
204ブランク加工板材をレーザや型を用いて抜き落とし、輪郭形状を作る加工方法である。ブランク加工には、レーザ加工機やタレットパンチプレス、レーザとタレットパンチプレスの機能を持つ複合加工機が用いられる。製造コストの低減が求められる昨今では、タレットパンチプレスや複合加工機を用いたブランク加工が多くなっている。
205フランジ成形板材の縁にフランジ(つば)を付けるための曲げ加工方法。自動車ボディなどの湾曲した部品の折り曲げに使われている。フランジ成形は「L曲げ」の応用加工であるが、曲げが湾曲するため加工が複雑である。金属の伸び縮みのコントロールが難しく、ワレやシワの原因になる。フランジ部分の湾曲方向によって、曲げフランジ成形、伸びフランジ成形、縮みフランジ成形、複合フランジ成形の3つに分けられる。
206ブローチ加工長い工具「ブローチ」を用いて、ワークの表面や内面を削る金属加工法。ブローチには「荒刃」から「仕上げ刃」まで複数の切れ刃が直線状に配置され、順番にワークを削る。これにより、荒加工から仕上げまでを一度の動作で完了させ、高い精度と効率を実現する。自動車部品のキー溝やエンジン部品のスプラインなど、複雑な断面形状の加工に適している。
207ヘミング曲げ板材の縁を180度折り返して平らに圧縮する加工方法。縁を滑らかに仕上げることで、安全性が向上し、見た目も美しくなる。薄板の補強にも利用され、強度とデザイン性を両立する手法として、自動車のドアやボンネット、家電製品の外装部品などに多く用いられている。
208ボーリングバー中ぐり加工で使用される工具で、穴の内面を精密に削るための中ぐりバイトである。ドリルで開けた下穴を広げ、所定の寸法や精度に仕上げる際に用いられる。ボーリングバーは、NC中ぐり盤やNC旋盤などの工作機械に取り付けて使用され、エンジン部品のような高精度が求められる穴加工に欠かせない。加工中は、切粉の排出や工具の振動によるびびり(共振)を防ぐ工夫が重要である。ボーリングバーの選定や使用方法は、加工する穴の直径や深さ、求められる精度によって異なる。
209ボール盤による穴あけ加工回転するドリルで工作物に穴をあける。精密な穴あけやタップ加工が可能。
210棒径被覆アーク溶接棒の心線の直径。
211ボトミングベンドV曲げの一種で、パンチを底まで押し込む加工方法。「底突き曲げ」とも呼ばれ、低い圧力でも成形が安定するため、広く使われている。スプリングバック(板の反り)とスプリングゴー(板の逆反り)の力で反りが相殺され、曲げ精度が高くなる。

ま行

No.用語説明
212曲げ加工金属板や金属部品に対して曲線や角度を形成する加工技術。曲げ加工は、製品の形状や用途に応じた特定の角度や形状を実現するために必要。代表的な方法として、プレスブレーキを用いた方法があげられる。金属板をダイとパンチの間に挟み込み、圧力を加えて精密な形状を作り出す。曲げ加工は、L字型やU字型、Z字型などの複雑な形状を簡単に作ることが可能で、自動車部品や建築部材、家電製品など幅広い分野で利用されている。また加工精度や効率を向上させるため、NC制御やCAD/CAMシステムが導入されている。
213曲げ試験/bend test規格の試験片を規定の半径で規定の曲げ角度まで変形を与え、曲げられた部分の外側を検査し、亀裂や欠点の有無によって合否判定をする試験法である。
214マグネシウム合金実用金属の中で最も軽量。電子機器筐体や自動車部品などに使用。
215マシニングセンタコンピュータ制御で複数の加工を自動で行う。複雑な形状の加工に適している。
216マニホールド比較的小径の連絡管を集合又は、分岐する容器:油圧機器部品。
217マルテンサイト/martensite炭素(C)を過飽和に固溶したオーステナイトから急冷(焼き入れ)した焼入組織であり、急冷により面心立方格子のγ鉄から体心立方格子のα鉄に変わる(変態という)。
218ミル仕上げ圧延上り。
219無酸素銅別名無酸素高伝導銅ともいう。燐、亜鉛、珪素、カリウム、リチウムなどの脱酸剤や酸素を含まない銅のことをいい、高い電気伝導率を有し、無酸化気圏で精錬鋳造された電気銅から作られる。
220メーター板(1×2板)巾1000ミリ×長さ2000ミリの板をメーター板といい、1×2板と表示する。
221メタルデポジッション方式金属3Dプリンターの造形方法のひとつ。ノズルから金属粉末を指定の箇所に供給し、レーザーを照射しながら層を重ねていくことで、複雑な形状の部品を造形する。メタルデポジッション方式は、粉塵対策や不活性ガスの排出対策が必要なパウダーベッド方式と比べ、導入コストが低く、新技術として注目されている。また、造形途中で異なる金属粉末に切り替えることも可能で、小型部品の造形や既存製品の修理にも利用されている。
222メッキ金属表面に別の金属を被覆する処理。亜鉛メッキ、クロムメッキ、ニッケルメッキなどがある。耐食性向上や装飾目的で使用。
223面心立方格子X、Y、Z方向の3軸の長さが等しく、すべて垂直であるような構造を有する立方晶系の1つで、立方体の角の他にその正方形をなす各面の中心にも結晶原子または分子を有するもの。

や行

No.用語説明
224焼入れ/quenchig金属を高温に加熱した後、急冷することで硬度を向上させる処理。工具や機械部品の硬度向上に使用。
225焼戻し/tempering焼入れ後の金属を適切な硬度や耐久性に調整する処理。過度の硬さによる脆さを改善。
226焼なまし/annealing「焼鈍(ショウドン)」ともいう。金属を軟化させ、曲がりや反りを防ぐための熱処理。加工性向上や内部応力除去に効果的。
227焼ならし/normalizing「焼準(ショウジュン)」ともいう。圧延・鋳造、鍛造などで製造された製品内部の残留応力を除いたり、粗大化した結晶粒を微細化し、靭性や機械的性質の改善をはかる。
228湯(ゆ)湯は、鋳造工程で用いられる専門用語で、溶けた金属、つまり溶融金属を指す。鋳造では、溶かした金属を鋳型に流し込み、冷やして固めることで製品を作る。このとき、溶融状態の金属を「湯」と呼ぶ。例えば、溶けた鋼は「溶鋼(ようこう)」と呼ぶ。湯を適切に管理することで、品質の高い鋳物を製造することが可能となる。
229湯口(ゆぐち)・湯道(ゆみち)湯口は、鋳造工程で溶けた金属を鋳型に注ぎ込む際の入り口部分を指す。一方、湯道は、湯口から流れ込んだ溶融金属が鋳型内を通過する通路のこと。例えば、自動車のエンジン部品など、複雑な形状の製品を製造する際、湯口と湯道の設計が適切でないと、内部に空洞や不純物が生じ、製品の強度や性能が低下する可能性がある。湯口・湯道の設計は、鋳造プロセスにおいて非常に重要な役割を担っている。
230溶鋼(ようこう)溶鋼は、溶けた鋼を指す。鋳造工程では、溶鋼を鋳型に注ぎ込み、冷やして固めることで製品を作る。温度や流し込む速度の管理が品質に大きく影響するため、適切な温度制御と取り扱いが高品質な鋳物製造の鍵となる。
231溶湯(ようとう)溶湯は、高温で溶かした金属の液体状態を指す。鋳造工程では、この溶湯を鋳型に流し込み、冷やして固めることで製品を作る。ダイカスト鋳造法では、アルミや亜鉛の溶湯を高速・高圧で金型に注入し、精密な鋳物を製造する。一方、金型重力鋳造法では、重力を利用して溶湯をゆっくり流し込み、強度の高い鋳物を作る。温度や流し込む速度の適切な管理が、鋳造製品の品質を左右する。
232溶接アークアークの発生する熱で電極の一方を形成する母材、棒状、ワイヤ状、帯状などの電極と母材の両者を溶融して溶接するために利用する場合を言う。直流アークと交流アークに大別される。
233溶接速度溶接ビードを置く速度。つまり溶接アークが継手線に沿って移動する速さを言い、1分間当たりの長さで表される。(単位はcm/min)
234溶接トーチ半自動アーク溶接ワイヤが自動的に送給されるアーク溶接に用いられ、溶接電流およびシールドガスの供給を行う手操作の器具(トーチ)。
235溶接ヒュームヒュームとも言い、溶接または切断時の熱によって、蒸発した物質が冷却されて固体の微粒子と なったもの。有害物質である。
236溶接棒棒状の溶加材の総称。被覆アーク溶接棒と裸溶接棒に大別される。
237溶接ロボット溶接ロボットとは、板金・パイプ・プレス品などの対称金属同士を溶接する自動溶接機のこと。 プログラムをロボットに入力しティーチングすることで、自動溶接する。 ロボットによる溶接は人手削減はもちろんのこと、スパッタやヒュームが発生がしにくく、作業者の技能差も考慮しないため、 品質の安定化を実現する。 ロボットによる溶接は、MIG溶接やMAG溶接、TIG溶接などに分類される。 また、制御のためのティーチングには、ティーチングペンダントを用いたオンラインティーチングやペンダントを用いない オフラインティーチング、ダイレクトティーチングなどがある。
238溶融金属積層法ワイヤー状の金属をノズルで供給し、ビームを照射しながら層を重ねていく造形方法。1秒間に数万回の火花(アーク放電)を飛ばすことでワイヤーを溶かし、積層を行なう。低コストで高速な造形が可能であるが、造形精度が低いため、加工ワークへの肉盛り(金属の補修)などで利用される。

ら行

No.用語説明
239ラッピング/lapping研削盤で仕上げた加工物の表面をラップ剤を用いてさらに平滑にし、寸法精度、面粗度の向上のために行なう研磨法で、湿式と乾式とがある。
240ラフピーリングステンレス棒の面削で150φ以上の太丸で爪にかかる程度の面粗さのものを、通常のピーリング材に対してラフピーリングという。
241リーマ穴の内径を精密に仕上げる工具。ドリルで開けた穴の精度を上げるために使用。
242リベット金属板をつなぎ合わせるために使う鋲のこと。
243粒界腐食結晶粒界に析出物ができ、その影響で付近の析出元素の不足から集中的に腐食が進むことをいう。
244レーザー直接積層法金属粉末をノズルから射出し、同時にレーザーを照射して層を重ねる造形方法。レーザー直接積層法は、LMD(Laser Metal Deposition)、DMD(Direct Metal Deposition)、DED(Direct Energy Deposition)、LENS(Laser Engineered Net Shaping)など、さまざまな名称や方式がある。パウダーベッド方式と比べて加工速度が速く、ピンポイントで金属粉末を供給できるため、材料の無駄がない。造形途中でも異なる金属粉末に切り替えることができるため、小型部品の造形や既存製品の修理などにも利用される。
245レーザー溶融法金属3Dプリンターの造形方式のひとつ。敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射し、溶かしながら層を重ねていくことで、複雑な形状の部品を造形する。レーザー溶融法は、SLM(Selective Laser Melting)とも呼ばれる。レーザー焼結法と似ているが、焼結の工程がないため、熱収縮が起こりにくいのが特徴。造形後は余分な粉末を除去して部品を取り出す。
246レーザー焼結法敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射し、焼き固める造形方法。最もよく知られている方法で、SLS(Selective Laser Sintering)とも呼ばれます。高出力のレーザーで一層ずつ焼き固め、造形後は余分な粉末を除去して造形物を取り出す。造形後の表面はパウダー感が残るため粗く、研磨加工で仕上げる。
247流動性金型のダイの開口部のような限られた空間を流れる場合の粉末の流れやすさ。
248冷間加工(C)再結晶温度未満、または常温で行なわれる加工を冷間加工といい、またこれは塑性変形を利用した加工である。
249連続鋳造/continuous casting大型で長い鋳塊を作る鋳造方法で、底のない鋳型に上から溶湯を注入しながら下から凝固した部分を引抜いて連続的に鋳造するものである。
250ろう付け/brazing2個の母材にはさんだ融点の低い金属片(ろう)を加熱溶融して接合する溶接法で、母材自体を溶かさない特長がある。
251ローラレベラ/ローラレベリングロール列の間に板材を通して板材のひずみを矯正する装置。
252ロール成形コイル状の板材を連続的に供給しながら、複数の回転ロールで曲げていく送り曲げ加工の一種。ロールの配置や形状を工夫することで、複雑な断面形状の製品を効率的に大量生産できる。ロール成形は、レールやサッシなどの長尺製品の製造に広く用いられている。
253ロール曲げ板材を曲面状に加工する送り曲げの一種。3本の回転ロールを使用し、板材を送り出しながら円筒形状に成形する。ロールの位置や配置を調整することで、円弧のサイズを精密に管理できる。建築部材や自動車部品の製造現場で広く活用される加工方法である。
254ロール目アルミ合金や伸銅品の板には、圧延加工時の圧延ロールの方向に細かい筋目が残っている。これをロール目という。
255ローレット材真中棒などの転造により、歯車のような断面の縦目すじ(平目)や、ななめの格子状のすじをつけた(あや目)があり、装飾品やすべり止め軸などに使われている。
256緑青(ろくしょう)銅の腐食生成物で、銅屋根などによく見られる緑色の被膜を緑青(ろくしょう)と呼んでいる。また緑青を人工的に生成する化学的方法や電解法があり、美観性を高めて商品化されているものもある。
257ロストワックス法ワックス(ろう)で作った模型を砂で固め、ワックスを溶かし出して鋳型にする鋳造法。ロストワックス法は、古くからある伝統的な鋳造方法であるが、精度が高く、複雑な形状の鋳物が可能となる。工程が多いためコストがかかるが、インペラやタービンなど航空機部品の鋳造にも使われている。「インベストモールド法」とも呼ばれる。

わ行

No.用語説明
258ワイヤーカット走行する直径0.02ミリから0.35ミリのワイヤ電極(黄銅線)と加工物の間で放電させ、糸のこのように複雑な輪郭形状のものを切り抜く加工方法である。加工液は一般にイオン交換樹脂を通した純水を使用する。
259割り出し5軸加工あらかじめ2軸(回転/傾斜)でワークの位置決めを行い、3軸(X/Y/Z)で加工を行う方法。これにより、ワークの角度が固定されるため、同時5軸加工に比べてシンプルで簡易的な方法である。同時5軸加工のような3次元曲面の加工はできないが、1回の段取りで多面の加工が可能となる。また、アンダーカット(隠れた加工面)の加工には、複数回のワーク角度調整が必要である。

A~X

No.用語説明
260AM技術AM技術は、Additive Manufacturingの略称で付加加工とも呼ばれる。これは、金属粉末をレーザーで焼き固めながら積層し、金属部品を造形する先進的な金属加工技術である。従来の鋳造や切削加工では再現が難しかった複雑な部品形状も、CADデータを基に容易に造形でき、軽量化や機能向上に寄与する。例えば、ボーイングのエンジン部品やオーダーメイドの医療器具の生産にも実用化されている。加工精度や時間に課題は残るものの、技術開発の進展により、追加工なしで最終製品の造形が可能となるまでに進化している。
261BMD方式BMD方式は、金属粉末をノズルから供給し、レーザーやビームを照射しながら層を重ねていく造形技術である。粉塵対策や不活性ガスの排出対策が必要なパウダーベッド方式と比べて導入コストが低く、小型部品の造形や既存製品の修理など幅広い用途で使用されている。BMD方式には、レーザー直接積層法や溶融金属積層法などが含まれ、それぞれの特性を活かして効率的な造形が可能である。
262CNC旋盤CNC旋盤は、コンピュータ数値制御により金属の旋削加工を行う工作機械である。主に円筒形の部品加工に適しており、自動車のシャフトやスマートフォンの精密部品など、丸物の量産に活用されている。タレットと呼ばれる旋回式の刃物台に複数の工具を装着し、外周削り、穴あけ、ねじ切りなどを自動で連続的に行う。これにより、作業者によるばらつきを抑え、安定した高精度加工が可能である。近年では、マシニングセンタの機能を組み合わせたターニングセンタと呼ばれる複合機も登場し、さらなる多機能化が進んでいる。英語では「CNC Lathe」と表記される。
263CNC高精密旋盤高精度加工に特化したNC旋盤。レンズ金型や光学部品など、精密さが求められる部品をサブミクロン(1μm以下)の精度で加工できる。また、研磨仕上げが可能な砥石を搭載した機種もあり、加工から仕上げまで一貫して行うことができる。英語では「CNC High Precision Lathe」と表記される。
264CNC自動旋盤NC旋盤を小型化・自動化した工作機械。主軸の背面からバー材(棒状のワーク)を自動供給し、加工・切り落としのサイクルを繰り返す。これにより、作業者によるワークの着脱が不要となり、自動化に最適である。 特に、自動車用精密部品や医療部品などの大量生産に適している。CNC自動旋盤には、単軸や多軸、くし刃型、スイス型(主軸移動型)などの種類があり、加工内容や生産形態に応じてさまざまな種類がある。
265CNCスイス型旋盤加工ワークを回転させながら前後に動かすNC自動旋盤。主軸が移動するため「主軸移動型」とも呼ばれる。ワークをガイドブッシュで支えるため、細長いバー材でも安定した加工が可能。スイスで時計部品の精密加工用として誕生した背景を持ち、今日では医療用器具や電子部品など、細長く高精度を要する製品の大量生産に利用されている。
266CNCくし刃型旋盤刃物を櫛(くし)状に並べたNC自動旋盤。ワークを回転させ、くし刃(横一列に並べた刃物)を動かしながら加工する。この構造により、タレット型と比較してコンパクトで、生産品目に応じて柔軟にラインを構築することができる。
267CNC単軸自動旋盤1本の主軸を持つNC自動旋盤。主軸の背面からバー材(棒状のワーク)を自動供給し、加工・切り落としのサイクルを繰り返す。この方式により、時計部品や自動車部品などの小さな精密部品の大量生産が可能である。CNC単軸自動旋盤は、加工時間が短く生産性が高いこと、小型で省スペースであることが特徴となる。一方で、大きなワークや重切削には向かないといったデメリットもある。生産品目や加工内容に応じて、NC旋盤や多軸自動旋盤との使い分けが重要である。
268CO2溶接金属を加熱する際にCO2ガスを使用する溶接方法。 炭酸ガスアーク溶接とも呼ばれ、鉄の溶接を目的とした半自動溶接に多く用いられている。 半自動溶接には、不活性ガスを用いるMIG溶接や、不活性ガスと炭酸ガスを用いるMAG溶接があるが、CO2溶接はCO2ガスのみを用いる。 また溶接スピードも比較的速く、溶接作業効率がいいことも特徴の一つ。 一方で、MIG溶接やMAG溶接と比べるとスパッタが発生しやすく、目的・用途を間違えると仕上がり品質の低下を招きやすい というデメリットもある。
269DMLS敷き詰めた金属粉末にイッテルビウムレーザーを照射し、直接焼き固める造形方法。DMLSは、高精度な金属部品の製造に適しており、特に航空機部品や医療機器など、複雑な形状が求められる製品で活用されている。造形後は余分な粉末を除去し、必要に応じて研磨加工を行うことで、高品質な仕上がりを実現する。
270FDM方式熱溶解積層(Fused Deposition Modeling)の略で、金属とバインダー(樹脂)を混ぜて固めた粉末をノズルから押し出し、層を重ねていく造形方法。積層時に余分なバインダーは熱で溶け、脱脂工程で除去される。その後、焼結工程で金属を焼き固め、最終的な金属製品となる。焼結時に約20%の収縮が生じるため、精密部品には仕上げ加工が必要となる。量産には適しないが、導入コストが低いため、研究所や試作用途として注目されている。
271Hi-NiToステンレス鋼を1000℃以上に加熱し、材料に窒素を固溶させた後、急速冷却することで、耐食性と硬さの向上をはかる表面改質処理。
272HIP(熱間静水圧プレス)材料を耐圧容器内で高温高圧下にさらすことにより材料の密度を高める方法。
273IACS国際的な導電率の表し方。
274L曲げ板材を押さえながらパンチを押しあて、L字(直角)に曲げる加工方法である。「押さえ曲げ」とも呼ばれる。板を押さえながら曲げるため、V曲げとくらべ、成形が安定する。また、V曲げではできない、長い板材の曲げも可能である。
275MAG溶接活性ガス(CO2など)と不活性ガスの混合ガスを使用。深い溶け込みが得られる。鉄鋼材料の溶接に適している。
276MIG溶接不活性ガスと溶融電極ワイヤーを使用。半自動で溶接でき作業効率が高い。アルミニウム合金の溶接に適している。
277MIMバインダと金属粉末の混合物をモールド内に射出して成形し、融点以下の温度に加熱して焼結することによって固体金属とする方法。バインダーは加熱過程で熱分解させ、金属外に排出させる。
278NC車輪旋盤鉄道車両の車輪を加工するためのNC旋盤。車輪の外周を削るだけでなく、摩耗した部分の補正や修理にも使用される。鉄道の安全運行を支える重要な役割を果たしており、定期的なメンテナンスや修理作業で活躍している。
279NC倣い旋盤「倣い加工」の機能を搭載したNC旋盤。 段付き軸部品やテーパー状の部品を、倣い装置でトレースしながら加工する。専用のセンサーや機構によって、マスター形状をなぞるように工具を制御し、均一な加工精度を実現する。高性能なNC旋盤の普及により使用機会は減っているが、ピストンなどのオーバル(楕円)加工では今も活用されている。
280NC立旋盤主軸が縦向きのNC旋盤。加工ワークをテーブルに置いて回転させるため、重たい材料でも安定して加工でき、ガスタービンや発電機ポンプなどの大型ワークでも平置きにより簡単に着脱や芯出しが可能である。ATC(自動工具交換装置)を搭載した機種では、ドリルや回転テーブルとの組み合わせで、マシニングセンタやターニングセンタに近い加工も行える。
281NC旋盤コンピュータ制御により金属の旋削加工を行う工作機械。主に円筒形の部品加工に適しており、自動車のシャフトやスマートフォンの精密部品など、丸物の量産に活用されている。タレットと呼ばれる旋回式の刃物台に複数の工具を装着し、外周削り、穴あけ、ねじ切りなどを自動で連続的に行なう。これにより、作業者によるばらつきを抑え、安定した高精度加工が可能となる。近年では、マシニングセンタの機能を組み合わせたターニングセンタと呼ばれる複合機も登場し、さらなる多機能化が進んでいる。英語では「CNC Lathe」と表記される。
282NC正面旋盤正面削りを行うNC制御の旋盤。刃物台は主軸に直角方向へ広く動作し、大型の円盤状ワークの加工に適しています。例えば、発電機のローターや大型フランジなどの加工に用いられる。
283NC単能機特定の加工工程に特化したNC旋盤。自動車部品などの量産加工において、専用機として活用されている。シンプルな構造により、メンテナンスが容易で、コスト面でも優れている。例えば、特定の部品の穴あけや切削など、単一の作業を高効率で行うことが可能となる。
284NC立中ぐり盤主軸が縦向きのNC中ぐり盤。門形の大型機械が多く、広い加工テーブルを備えているため、大型の金属加工に適している。ユニバーサルヘッド(交換式の旋回工具)を用いることで、5面加工も可能である。例えば、大型の金属部品を加工する際、NC立中ぐり盤の広いテーブルと縦向きの主軸が効果を発揮する。また、ユニバーサルヘッドを活用することで、複雑な形状の加工も容易になる。
285NC表面ブローチ盤加工ワークの表面を削り、溝を形成するNCブローチ盤。溝は、スプロケットやスプライン、歯車などの機械要素として利用される。フライス加工と比較して、効率が良く、高い精度が得られるのが特徴である。例えば、自動車部品のスプロケットの溝加工や、産業機械のスプライン加工などで活躍している。
286NC内面ブローチ盤NC制御のブローチ盤の一種で、複雑な内面形状の加工を一度の工程で効率的に行うことができる。ドリルなどで開けた穴の内壁を削り、キー溝や多角形の穴、内歯車などの複雑な形状を高精度で加工する。自動車部品のキー溝やスプラインの軸受、内歯車などの製造において、NC内面ブローチ盤は欠かせない存在である。
287NC中ぐり盤中ぐり加工に特化したNC工作機械。主軸に取り付けたボーリングバーを回転させ、穴の内面を精密に削る。独自の「クイル」と呼ばれる繰出し主軸を備え、ボーリングバーを長く突き出して深い穴の加工が可能である。 工具を交換することで、フライス加工や穴あけ加工、リーマ加工、タップ加工も行える。エンジン部品のような精密な穴加工に欠かせない機械である。
288NCブローチ盤長い工具「ブローチ」を用いて、ワークの表面や内面を削るNC工作機械。ブローチには「荒刃」から「仕上げ刃」まで複数の切れ刃が直線状に配置され、順番にワークを削る。これにより、荒加工から仕上げまでを一度の動作で完了させ、高い精度と効率を実現する。NCブローチ盤には、省スペースで安定した「立形」や、ブローチのメンテナンスが容易な「横形」など、さまざまな種類がある。自動車部品のキー溝やエンジン部品のスプラインなど、複雑な断面形状の加工に適している。
289NC横中ぐり盤主軸が横向きのNC中ぐり盤。立形に比べて切粉を外に排出しやすく、大きな穴や深い穴の加工が可能となる。小物から中物の加工に適しており、フライス加工と兼用で使用される場合は「NC横中ぐりフライス盤」とも呼ばれる。NC横中ぐり盤は、エンジン部品や精密機械の部品加工など、精度が求められる場面で活躍する。また、切削中の安定性が高く、効率的な加工が行える。
290NCロール旋盤大きな円筒形のワークを旋削するための大型NC旋盤。発電機の大型シャフトやタービンなど、巨大で重量がある部品の加工に使用される。これらの部品は高精度かつ高い耐久性が求められるため、NCロール旋盤のような精密で強力な機械が必要とされる。
291O曲げ板材を360度曲げて円筒状に丸める加工方法。複数の曲げ工程を経て、最終的に円筒形に仕上げる。O曲げは、パイプや筒状の部品を製造する際に用いられる。例えば、金属製のパイプや筒状の容器などがO曲げによって作られる。複数回の曲げ工程を組み合わせることで、精度の高い円筒形状を実現する。
292PBF方式敷き詰めた金属粉末に熱エネルギーを照射し、金属部品を積層造形する方法。 PBF方式は、熱源の種類に応じて、SLS(レーザー焼結法)、DMLS(直接金属レーザー焼結法)、SLM(レーザー溶融法)、EBM(電子ビーム溶解法)などに分類される。例えば、航空機エンジンの軽量部品や複雑形状の医療器具など、従来の加工では難しかった製品の製造に適している。 金属部品の精密製造だけでなく、壊れた部品の補修にも応用され、製造業全体での革新を支えている。
293R曲げ丸型のパンチを使い、板材をアール状に曲げる加工方法。V曲げなどの汎用の金型を使用できるため、加工の自由度が高いのが特徴である。R曲げは、製品のデザインや機能性を向上させるために、自動車部品や家電製品など幅広い分野で活用されている。
294SLM金属3Dプリンターの造形方式のひとつで、Selective Laser Melting(選択的レーザー溶融)の略称。敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射し、溶かしながら層を重ねていくことで、複雑な形状の部品を造形する。SLMは、焼結の工程がないため、熱収縮が起こりにくいのが特徴である。造形後は余分な粉末を除去して部品を取り出す。
295SLS粉末焼結方式の一種で、粉末状の材料の必要な部分にレーザー等を照射することで、焼結により硬化させる造形方式。3Dプリンターによる造形の中でも強度に優れているが、表面のざらつきが残る場合があり、材料となる粉体の管理には注意が必要である。SLSは、複雑な形状の部品製造や、試作から量産まで幅広く活用されている。
296TIG溶接タングステン電極と不活性ガスを使用。スパッタが少なく美しい溶接が可能。ステンレス、アルミ等の溶接に適している。
297U曲げ板材をパンチと逆押さえで加圧し、U字に曲げる加工方法。逆押さえ曲げとも呼ばれる。パンチによる曲げを逆押さえ(パッド)で補助することで、U字の両角を同時に曲げることが可能となる。製品ごとに専用の金型が必要なため汎用性は低いが、曲げ角度のばらつきが少なく曲げ工数を減らすことができる。
298V曲げV字形のパンチを用いて板材を押し曲げる基本的な加工方法。金型がシンプルで、多様な曲げ加工に対応できるため、幅広く利用されている。90度以外の角度にも成形可能であるが、板材を固定しないため、成形品の飛び出しや腰折れ(ダイ接触による変形)に注意が必要となる。V曲げには、「パーシャルベンディング」「ボトミングベンド」「コイニングベンド」の3種類があり、それぞれ成形精度やスプリングバックの特性が異なる。用途に応じて適切な方法が選ばれる。
299Z曲げ板材をZ字に曲げる加工方法。「曲げ戻し」とも呼ばれ、L曲げを2回繰り返す方法や、V曲げとL曲げを組み合わせる方法がある。専用の金型を使えば、1回の工程で成形することも可能である。寸法精度が求められる加工で、位置決め精度が仕上がりを左右する。
300X線回折試験平滑な試料にX線を照射し、反射したX線が共振する角度や強度から試料表面に存在する物質の結晶構造および物質を判別する方法。

【備考】
 参照(引用)先は以下の通りです。(敬称略)
 きりいたドットコム、はじめの工作機械、ナカヤマ、金属塑性加工.com、大阪冶金興業、MiSUMI

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