用語集
2025.09.08
【樹脂加工用語集】
樹脂加工用語集を作成しましたので、ご活用下さい。
あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 A~X
あ行
No. | 用語 | 説明 |
1 | アウトサート成形 | 金型中に金属部品を挿入して成形する事で金属と樹脂が一体となる成形法。インサート成形と区別して、成形部より大型の金属板上に小さなプラスチック部分を成形する方法をいう。 |
2 | アクリル樹脂 | 射出成形用のものは、メタクリル酸メチルの重合体を主成分としたもので透明性に優れ流動性はポリスチレンより悪く、吸湿性があるので成形に際しては、充分に乾燥して水分を除去する必要がある。 |
3 | 圧縮空気圧成形(圧空成形)(プレッシャ成形) | 真空成形とならんで広く利用されている熱成形の一成形法で、加熱して軟化させたプラスチックシートをクランプし、圧縮空気の力でシートを引き延ばして型に沿わせ、成形品を得る方法をいう。真空の力でシートを引き延ばして成形する場合は真空成形という。 |
4 | 圧縮成形/compression molding | 成形材料を金型のキャビティに入れ、一定時間高圧のもと加熱して成形する方法。主に熱硬化性樹脂成形に用いられ、直圧成形とも呼ばれる。 |
5 | 後収縮 | 成形収縮を参照。 |
6 | アニーリング(熱処理)/annealing | 熱可塑性樹脂の成形品の残留応力を取り除くために成形後に行う加熱処理のこと。アニーリングの効果として、①成形品の寸法安定性が向上する ②荷重たわみ温度や機械的性質が向上する 等がある。 |
7 | アフタベーキング | アフタベーキングは、熱硬化性樹脂を成形後、一定温度のもとに一定時間加熱する操作をいう。アニーリング(熱処理)が残留応力の除去を主目的としているのに対して、アフタベーキングは加熱によって樹脂の硬化(キュア)状態をさらにすすめて、寸法安定性を向上することを主目的としている。フェノール樹脂による電気機器(重電流遮断器など)のように比較的高温度に長期間さらされる製品などに応用されている。アフタベーキングの一般的な処理方法(条件)としては、120~150℃で数時間もしくは数十時間(多くの場合48時間以内)加熱をする。加熱時間は製品の形状や肉厚に応じて加減をするが、加熱中の製品の変形を防ぐために治具を使用する場合もある。 |
8 | アルキッド樹脂 | アルキッドは、アルキド(alkyd)とも呼ばれ、ポリエステルに属する樹脂のグループである。アルキドの語は、ポリエステルのモノマーでlcohol(アルコール) + acid(酸)もしくは acid anhydride(酸無水物)に由来する。 |
9 | アンギュラピン(斜めピン) | 金型開閉に伴い、スライドコアを移動させるためのガイドピンである。アンダカットのある成形品を、金型からはずす時に用いる。 |
10 | アンダーカット | 成形品を型から取り出すときに、支障となる型または成形品の凸凹部をいう。普通、アンダカット部分は、金型にルーズコアやスライドコアを取り付けて成形し、成形品の突き出し前に、これを手動または自動で取り去る。 |
11 | 安定剤/stabillizer | プラスチック加工時及び製品の使用期間中の劣化を防止するための物質。 |
12 | 糸挽き | 成形品を取り出した時、スプール先端に樹脂が糸ひき状になって付いてくる現象をいう。 |
13 | 入れ子/insert | キャビティやコアなどにはめ込まれる別部品。加工の難しい部分を入れ子にしたり、納期短縮のためにコアを分割して数台の機械で加工し、入れ子にして一体化したりする。 |
14 | インサート成形/insert molding | プラスチック成形品に金属部品その他を埋め込む成形法。圧縮成形、トランスファ成形で応用例が多い。 |
15 | インフレーション法/inflation molding | プラスチックフィルムの成形方法の一つで押出機で溶融した材料をチューブ状に押出し、この中に圧縮空気を送ってふくらませてフィルムを作る方法。この方法で作られたフィルムをインフレーションフィルムと呼ぶ。 |
16 | インラインスクリュ式射出成形機 | スクリュで成形材料を可塑化させるとともにスクリュがプランジャの作用もする形式の射出成形機をいう。熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム、発砲成形材料など各種成形材料の成形に利用されている。現状では、このタイプの射出成形機が主流になっている。 |
17 | ウェルド/weld | 溶融樹脂の合流箇所でできる接合線で、外観及び強度的に欠陥となることがある。 |
18 | 打抜き/blanking | 素材から所定の形状、寸法の平板を切り落としてそれを製品とする、外形抜きをする加工のこと。 |
19 | エアベント、エアニゲ | 金型に樹脂が充填される際金型内の圧縮された空気や金型内で溶融した樹脂から発生したガスを金型外に排気するための溝または穴のこと。 |
20 | エジェクタピン(EP) | 成形品を突き出すために、金型内に設けたピンをいう。 |
21 | エジェクタストローク | 成形品を金型から突き出す距離をいう。 |
22 | エジェクタ装置 | 成形品を金型から取り出すために、突き出す装置。 |
23 | エラストマー/elastomer | 一般にゴム類のような弾性の顕著な高分子材料をいい、これに対しプラスチックのことを対比上プラストマー(plastomer)ということもある。熱可塑性エラストマー(TPE)、熱硬化性エラストマーを参照。 |
24 | エンジニアリング・プラスチック/engineering plastics | エンジニアリング・プラスチック(略称エンプラ)は、構造材や耐熱、耐じん性の高い材料、部品等に使用できるプラスチックで、一応、引張強さが50MPa以上、伸びもある程度大きく、衝撃強さが50J/m以上、荷重たわみ温度が100℃以上で、耐薬品、耐難燃、耐候性もすぐれているプラスチックをいう。またエンプラの中でも、汎用エンプラとスーパーエンプラ(特殊エンプラ)に分類されている。代表的な樹脂に、汎用エンプラでは、PA、POM、PC、PBT(PET)、変性PPEがあり、スーパーエンプラでは、PPS、PAR、PEI、PSF、PES、PEK、PEEK、PI、PAIなどがある。 |
25 | 押出し成形/extrusion molding | プラスチック成形材料を押出し機の中で加熱・可塑化させ流動状態にし、型から押出して成形する方法。 |
26 | オレフィン系樹脂 | 二重結合を1箇もった鎖状炭化水素の総称で、結晶高分子からなるため結晶化度により物性が変化する。この系統の樹脂として、ポリエチレン、ポリプロピレンがある。オレフィン系樹脂は、一般的に比重が小さく、耐薬品性が良く、射出流動性も優れているが、成形収縮率が大きく塗装、接着、ホットスタンプなどの二次加工では劣る。 |
か行
No. | 用語 | 説明 |
27 | 荷重たわみ温度/deflection temperature under load | 熱変形温度ともいい、合成樹脂の耐熱性を評価する試験法の1つ。試験法規格(試験法は ASTM D648、JIS 7191)で決められた荷重を与え、試料の温度を上げていき、たわみの大きさが一定の値になる温度で求めるが、曲げ弾性率が 2,514 kgf/cm2 =0.25 GPa または 10,000 kgf/cm2=1GPaになる温度で表す。 |
28 | 可塑化 | 射出成形機においての可塑化とは、スクリュ方式の場合、加熱(ヒータ)と機械的操作(スクリュ回転)によってプラスチック材料を柔軟(溶融)にすること。 |
29 | 可塑化能力 | 成形機の能力を表す方法の一つで、単位時間内に可塑化しうるプラスチック材料の最大重量をいい、kg/Hrで表す。 |
30 | 可塑剤/plasticizer | プラスチックに混ぜて製品に柔軟性を付与するために加えられる液状又は固体状の物質。 |
31 | 型キズ | 金型のキズが、成形品にそのまま写された外観上の欠点をいう。 |
32 | 型締方式 | 射出成形機には、トグル式・直圧式等の方式がある。 |
33 | 型締力 | 射出成形中に溶融樹脂の反発力で金型が開かない様に、成形機が金型(固定側、可動側)を閉じる荷重。 |
34 | 型閉時間 | 成形の際、金型を閉じ始めてから完全に締め終わるまでの時間。 |
35 | 型閉速度 | 型閉時の可動盤の移動速度をいう。成形機のカタログ等では、その最高速度で表す。 |
36 | 型内圧力 | 成形過程において、樹脂を充填した時の金型内面に発生する圧力をいう。 |
37 | 型開ストローク | 成形品を取り出すために金型を開く可動盤の移動距離を表す。 |
38 | 型開速度 | 型開時の可動盤の移動速度をいう。成形機のカタログ等では、その最高速度で表す。 |
39 | 型開き力 | 成形機の金型を開く力をいう。 |
40 | 滑剤 | 熱可塑性樹脂を成形するときに、その流動性を改善して加工を容易にするため、あるいは成形品を金型から抜き取ることを容易にするために添加をする薬剤をいう。 |
41 | 可動盤 | 成形機の型締機構において、開閉運動をする側のダイプレートをいう。 |
42 | 金型温度 | 金型の設定温度、もしくは実測温度をいう。金型温度は、熱硬化性樹脂の場合、その溶融、硬化に与える影響は大きい。前者は金型キャビティへの成形材料の充填に、後者は成形品品質、成形サイクルタイムを左右する主要な条件因子となる。無論、熱可塑性樹脂においても金型温度は成形品品質などを左右する重要なファクターである。金型の加熱方法としては、電気ヒータを金型の可動側、固定側、あるいはそれぞれの受板に埋込んで、ヒータ通電により行う方法と加熱媒体に水または油を使用する金型温度調節機を使用する方法が一般的である。成形時にゲート部では、成形材料通過時の摩擦熱によって、温度上昇することもあり、肉厚不均一成形品に対する温度分布を含め、精密成形品の成形やハイサイクル成形には、金型温度の制御に対して、細かい配慮が必要である。一般的には、±2~±3℃以内に管理することが望ましい。 |
43 | 金型温度調節機(温調機) | 加熱装置を備え、金型の温度を調整または保持することが出来る装置をいう。媒体に水や油またはエチレングリコールを使用し、それを加熱してポンプで循環させ温度の調整または保持をする。 |
44 | ガラス繊維強化グレード | ガラスを繊維化したものを混入させ、強度を増したもの。 |
45 | カレンダー加工 | 2~4本の熱ロールを組合せ一定の厚さに連続して圧延し、フィルムやシート状に成形する加工方法。 |
46 | キャビティ | 射出成形用金型において、成形品に該当する空間部分をいう。また、この空間を形成している雌型(キャビティプレート)をいうこともある。 |
47 | 鏡面仕上げ | 金型やプラスチックなどの表面を研削、バフ、ラッピング、ホーニング、ポリッシング、超仕上げなどによって、鏡のように平滑に、かつ光沢のある状態に仕上げることをいう。 |
48 | 吸着面 | 吸着式自動実装機で吸着する面。(通常 ゲート、分割、バリ不可面) |
49 | 吸水性 | 成形加工に用いるポリマー、フィラーには水分を吸って成形性や製品の性質に著しく影響するものがある。ナイロンは特に吸水性が高いことで知られ、吸水率が1.5%にも及ぶ。ナイロンでは絶乾時と吸湿時では力学的性質が異なる。また、成形時に水分の影響を受けて分解するポリエステルなどは、成形に先立って乾燥する必要がある。 |
50 | 吸水率 | 物体を一定温度において、一定時間蒸留水に浸漬したときの重量増加分と原重量との比を百分率で表わしたものをいう。 |
51 | クラック | 「割れ」ともいう。クレージングによるヒビが更に進んでより大きくなった状態。 |
52 | クレージング | 成形品の表面に細い線状のヒビが入ることをいう。 |
53 | クッション量 | 通常、成形品を安定生産するために、射出工程で保圧をかける。保圧を有効に効かすために射出時にスクリュ先端部の溶融樹脂を残す。その樹脂量をいう。 |
54 | 傾斜ピン(傾斜コア、ルーズコア) | そのままの状態では離型できないアンダーカット部(凸凹形状)を取り出す為の構造の一つ。製品内側のアンダーカット処理をする為の構造。 |
55 | 結晶性プラスチック/crystalline plastics | 分子鎖が規則正しく配列された状態を結晶領域といい、この結晶領域の量の比率が高いもの(結晶化度の高いもの)をいう。PE,PP,PA,POM,PETなどが代表的な種類である。 |
56 | ケミカルリサイクル | 化学的再生法。廃棄物に化学的処理を施し、他の物質に転換後、再利用すること。多くのメリットがある反面、リサイクルコスト、リサイクルエネルギーが課題と言われている。 |
57 | ゲート/gate | 射出成形用金型において、溶融した成形材料をキャビティへ注入するための注入口をいう。 |
58 | ゲートバランス | 射出成形用金型において多数個取りの場合、成形材料が各キャビティに同時に充填されるようにキャビティやランナの配置を考慮したり、ゲートの長さや断面積を調節することをいう。 |
59 | ゲートシール時間 | 射出工程で金型(キャビティ)に溶融樹脂が充填されてからゲートが固化するまでの時間。 |
60 | ゲル | コロイド粒子や高分子溶質が相互作用のために独立した運動性を失って集合した構造をもち、それが固化した状態をゲルと呼んでいる。ゲルが分散媒を含んだままで固化したものをゼリーといい、狭義ではゲルはゼリーをさす。これに対してコロイド粒子が液体中に分散して流動性を示す状態をゾルと呼び、ゾルが固化することをゲル化という。 |
61 | コールドスラグウェル | 熱可塑性樹脂の射出成形用金型において、コールドスラグ(冷却固化しかけた材料)を収容するために、スプル下端やランナの末端に設けた樹脂だめ、あるいはウエルドラインの強度を増すためにその外側に設けた樹脂だめをいう。 |
62 | コア/core | 金型の可動側の製品部のこと。金型の製品部はキャビティとコアで構成される。一般にコアは成型品の裏側になり、突出し機構を備えている。 |
63 | コーティング | 主にキャビティやコアの表面に施す事によって離型性/耐腐食性/対摩耗性を向上させる事が出来る。樹脂の特性や製品形状によって適正な組合せを選定する必要がある。 |
64 | 硬化剤/hardener | 熱硬化性樹脂を硬化させる薬品のこと。 |
65 | 剛性/stiffness | 曲げやねじりに対する抵抗度。プラスチックでは曲げ弾性率の大きいものが剛性が大きいという。 |
66 | コプラナリティ | 平坦度。 |
67 | コポリマー/copolymer | 2種類以上の異なったモノマー(単量体)を混合して重合することを共重合(copolymerization)といい、これによって得られた生成物のことをいう。共重合体とも呼ばれる。 |
68 | コンパウンド/compound | プラスチックの用途に応じて充填材、可塑剤、着色剤、安定剤などを混合して成形に適するようにつくられた材料のこと。 |
さ行
No. | 用語 | 説明 |
69 | サイドゲート | キャビティの側面から成形材料を充填するゲートをいう。 |
70 | ざらつき摩耗 | 2つの摺動面に硬度の高い微粒子がはさまって、研削材のように相手表面を掘り起こし摩耗することをいう。これは、塵や疲労現象を起こして剥離する疲れ摩耗粉、相手金属に見られる酸化・腐食摩耗粉などが原因と考えられる。 |
71 | 残量(クッション量) | 通常、成形品を安定生産するために、射出工程で保圧をかける。保圧を有効に効かすために射出時にスクリュ先端部の溶融樹脂を残す。その樹脂量をいう。 |
72 | 射出圧力 | 樹脂を射出する時のノズル先端部の圧力をいい、kgf/cm2又はMPaで表す。 |
73 | 射出重量 | 1ショットに射出される樹脂の量をいい、gで表す。 |
74 | 射出成形/injection molding | 成形材料をシリンダー内で加熱して溶かし、閉じた金型の中に高圧注入し固化させることにより成形品を作る方法。 |
75 | 射出成形機 | 射出成形に使用する機械をいう。射出成形機の多くは、熱可塑性樹脂用の機械であるが、熱硬化性樹脂用、ゴム用、発砲成形用など種類がある。また、そのなかでも可塑化方法の違いによる分類、型締方法の違いによる分類、駆動方法の違いによる分類などその用途や特徴によってさまざまに分類されている。 |
76 | 射出成形用金型 | 射出成形機により、成形品を造るのに使用する金型をいう。通常の金型は、スプル、ランナ、ゲートを通じてキャビティに充填された成形材料を冷却固化させた後、自動的に金型を開いて、その成形品を取り出すように作られている。 |
77 | 射出装置(射出ユニット) | 射出成形機において、成形材料を可塑化させ射出する機構部分をいう。射出ユニットともいう。 |
78 | ジェッティング | ゲートからキャビティ内に射出された樹脂が、ひも状のまま固化して成形品の表面に蛇行状摸様を呈する現象をいう。 |
79 | ショートショット/short shot | 射出成形又は圧縮成形において成形材料が金型キャビティのすみずみまで行きわたらず、キャビティを完全に充填しきれない現象をいう。原因としては、成形条件によるもの及び金型の原因によるものなどが考えられる。 |
80 | 衝撃強さ/impact strength | 曲げの荷重によって材料が破断するのに要するエネルギーを断面積で除した値で、kgf・cm/cm2の単位で示す。一般にこの値の小さい材料ほど脆い。 |
81 | 真空成形/vacuum molding | プラスチックフィルムやプラスチックシートなどを型の上にのせ、シートと型の間を真空にして型に圧着させて成形する方法。 |
82 | シンクマーク | 「ひけ」ともいう。成形品の表面に発生する凹み現象をいう。 |
83 | 自己消火性/self-extinguishing | 炎に接すると燃えるが、炎を取り除いたとき自然に消火する性質のこと。自消性とも言われる。 |
84 | 充填材/filler | 強さ、耐久性、作業性その他の性能を改善するため、又は価格を下げるためのプラスチックに加える比較的不活性な固体材料。 |
85 | 冶具 | 英語Jigの当て字で、加工・組立・測定の際に部品や製品の位置を固定できる装置。治具を使うことで加工や測定が容易になり、仕上がりの寸法を統一することができる。 |
86 | スーパーエンジニアリング・プラスチック (スーパーエンプラ) | 汎用のエンプラより、特に耐熱性が150℃以上あり通常のエンプラ同様に機械部品に適用可能なもの、あるいは特殊な機能を持っており、ある限定された用途に多く使用されているものをいうが、エンプラとの明確な区別はない。 |
87 | スキン層 | 溶融樹脂が金型のキャビティ内に流れ込み、キャビティ壁面に接したところより冷却され即座に固化し膜のような状態になること。 |
88 | スタンダードゲート(サイドゲート) | キャビティの側面から成形材料を充填するゲートをいう。複数の成形品を一つの金型で成形する場合によく利用される標準的なゲート方式。ゲート切断の手間がかかり、外観の一部が損なわれる場合が多い。 |
89 | スチレン系樹脂 | スチレン系樹脂は射出成形用のプラスチック材料のうちでも主流を占め、他の樹脂と比較して一般的に成形性が良く、主なものとしてGPPS、HIPSのポリスチレン、AS(SAN)、ABSなどがある。 |
90 | ストリッパープレート | 射出成形用金型において、成形品の自動取出しに用いる金型部品をいう。突出しピンでは取出しの困難な成形品または成形品に突出しピンの跡がつくのを嫌う場合に使用される取出し板をいい、金型が開くとき成形品を自動的に突き出す。 |
91 | ストレスクラッキング/environmental stress cracking | 高分子材料が応力をうけている状態、または成形加工時のひずみが残留している状態で薬品類に接触するなど、ある種の雰囲気中におくと亀裂が生じたり、通常の大気中に比べ亀裂の発生が著しく促進されたりする。この様に外的環境によって応力下に起こる亀裂のことをいう。 |
92 | スプリットモールド | 割型 |
93 | スプル | 射出成形用金型の成形材料の流路の一部で、円錐形の部分をいう。 |
94 | スライド | そのままの状態では離型できないアンダーカット部(凸凹形状)を取り出す為の構造の一つ。製品外側のアンダーカット処理をする為の構造。 |
95 | スリーブ突出し | 射出成形用金型において、成形品を取出すのにエジェクタスリーブ(パイプ状突出しピン)により突き出す方法をいう。 |
96 | 背圧 | 射出成形機においての背圧とは、スクリュが回転して樹脂の可塑化と混練を行い、これをスクリュ先端に送り込むが、この先端に送られる溶融樹脂によってスクリュが後退する。この際スクリュの後退方向とは逆に射出方向に働かせて樹脂を加圧する圧力を背圧という。 |
97 | 成形収縮 | 成形品を金型から取り出し、室温まで冷却すると収縮がおこり金型の寸法より小さくなることをいう。離型後24時間以内に起る収縮を成形収縮という。その後に起こるものを、後収縮という。 |
98 | 生分解性プラスチック | プラスチックは一般的に金属などと比べて安く、丈夫で長持ち、軽量で加工が容易などその優れた特性ゆえに世界のあらゆる地域と分野で広く利用されているが、短所である半永久的に分解しない点を改良したプラスチックを生分解性プラスチックと呼んでいる。生分解性プラスチックの定義は難しいが、一般的に使用中は従来のプラスチックと同程度の機能を保ちながら、使用後は自然界の微生物によって低分子化合物に分解され、最終的に無害な水や二酸化炭素などの無機物に分解される素材をいう。現在では、ごく一部の樹脂メーカーで実用化され、限られた分野で製品化されている。但し、現段階では廃プラスチックのリサイクルを含む継続的な技術開発が不可欠の研究課題になっているプラスチックでもある。 |
99 | 積層品/laminate | 1種あるいは2種以上の物質の薄板、シート又はフィルムを2枚以上貼り合わせ接着した製品で、ラミネートとも呼ばれる。紙、布、ガラス布などの基材に合成樹脂を含浸させた積層材料を金属板間又は金型中にて加圧、加熱して硬化させ一体成形品を作るものが広範に使用されている。その形状により、積層板、積層棒、積層管、一般積品及びラミネート紙がある。 |
100 | 脆化(ぜいか)温度/brittlness temperature | 高分子材料は、その材料に特有な二次転移温度以上でも急激に外力を受けると破壊する。この現象を脆化といい、その時の温度を脆化温度という。二次転移温度は測定が困難なため、工学的には脆化温度が耐寒性の目安とされていることが多い。 |
101 | 絶縁抵抗/insulation resistance | 絶縁体に電圧を加えたとき絶縁体の示す電気抵抗で普通絶縁された送電線、電気機械の巻線などに対し、これと地表との間に存在する電気抵抗をいい、オーム(Ω)又はメガオーム(MΩ)の単位で示す。 |
102 | 絶縁破壊強さ/dielectric strength | 絶縁が破壊されるまでに要した電圧を試料の単位厚さで除した値で、一般にはKV/ミリの単位で示す。 |
103 | 接着剤/bonding agent | 2つの物体を離れないように接合するために、その両物体の間に介在させる物質をいう。天然物質のデンプン系、タンパク質系、樹脂系、瀝青系など、また合成物質の熱可塑性樹脂系、熱硬化性樹脂系、合成ゴム系、これらの混合型などがある。 |
104 | 塑性変形/plastic deformation | 弾性限界を超えた外力を加えた後に残る永久歪のこと。 |
105 | ソルベントクラック/solvent cracking | 材料に対して無荷重(無応力、無ストレス)ではほとんど影響を及ぼさない薬品でも、応力が内部または外部に存在した場合、その応力との相互作用により材料の成形品表面にクラックを生じさせる。このクラックのことをソルベントクラックといい、耐薬品性の物性として重要な性質である。 |
106 | そり | 成形品の内部応力の緩和、または収縮のために起こる変形をいう。 |
107 | ゾル | 液体を分散媒とするコロイド分散系で、分散系全体が流動性をもつものをゾルという。これに対して、流動性を消失して固化したものをゲルと呼んでいる。分散媒が水の場合をヒドロゾル、有機液体の場合をオルガノゾルといっている。 |
た行
No. | 用語 | 説明 |
108 | 耐アーク性 | 絶縁材料がアークによる劣化に耐える能力をいう。芳香環を含まず、炭素主鎖の途中に N 、 O などが結合しているプラスチック(たとえば、アミノ樹脂)は炭化しにくく耐アーク性が良いが、フェノール樹脂は耐アーク性が劣る。 |
109 | 耐菌性 | 各種菌の侵食に対するプラスチックの抵抗性をいう。 |
110 | 耐候性 | プラスチックの光、熱、風、雨などの屋外条件下で暴露したときの耐久性をいう。長期間を要する屋外暴露試験と人工促進試験によって評価される。 |
111 | 耐候性改質剤 | プラスチックは光、熱、酸素、水、オゾン、微生物によって劣化し、外観の変化、機械的、電気的性質の低下を生ずる。これらのすべてを改質するものはないが、一例としてこれらの劣化を生ずる因子の中で光による劣化が大きいことから、紫外線を吸収し、熱として放散し光による劣化を出来るだけ少なくする副資剤としては、サルチレート、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール系のものがある。酸化反応の制御のためには、プロピルガレード、ρ-ブチルアミノフェノールなどの酸化防止剤、分散防止用安定剤としては、三塩基性硫酸鉛、有機スズ化合物などがある。 |
112 | 耐コロナ性 | コロナ放電による劣化に耐える絶縁材料の能力をいう。 |
113 | 耐食性 | 屋外暴露、化学薬品などによって生ずる腐食に耐える能力をいう。 |
114 | 耐トラッキング性 | 絶縁材料が高電圧のもとで導電路が形成されて破損に耐える能力をいう。 |
115 | 体積収縮 | プラスチックの成形についていえば、金型の中で溶融状態から固化した時に生ずる体積の収縮が問題となることが多い。金型設計の際に重要なファクターとなる。 |
116 | 体積抵抗率/volume resistivity | 電気絶縁抵抗の大きさを表わすものであり、絶縁体の内部に1cm3の立体を考え、その相対する両面間に電圧を印加し、そのとき立体を通る電流で電圧を除した電気抵抗である。Ωcmの単位で示す。 |
117 | 体積膨張率 | 固体の体積が温度によって変わる割合を単位温度当りの体積ひずみで表わしたものである。 |
118 | 帯電防止剤 | プラスチック、ゴム、繊維の表面の電気抵抗を小さくして、静電気の発生による帯電を防止するために成形材料に添加したり、表面に塗布する副資材をいう。界面活性剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボンなどがある。 |
119 | 耐トラッキング性 | 絶縁材料が高電圧のもとで導電路が形成されて破損に耐える能力をいう。 |
120 | 耐熱性 | 材料の高温における安定性をいい、溶融、軟化、熱分解温度が高いこと、高温において酸素、オゾンその他の物質の影響を受けにくいこと、物性が低下しないことなどが対象になる。 |
121 | 耐熱PETボトル(耐熱ペットボトル) | ジュースなどの果汁飲料用ボトルとして使用されている内容品の熱間充填が可能なPETボトルをいう。通常の射出延伸ブロー成形で成形されたPETボトルは、85℃程度の熱間充填においても胴部や底部の変形、収縮が生じたり、口部の変形によりキャッピング不能となる。耐熱PETボトルでは、ボトル口部は加熱により白化結晶化され、胴部および底部は100℃以上に加熱されたブロー金型でヒートセットが施こされる。胴部をヒートセットする方法としては、1モールド法と2モールド法がある。前者は、温度の高いブロー金型内でヒートセットする方法で、装置は単純であるが生産速度が低下する。後者では、ヒートセットと冷却を第二の金型で行うものである。 |
122 | 耐燃性 | プラスチックが燃焼に耐える能力をいう。炎にさらされているときは燃えるが、炎を取り去ると燃焼が続かず消える能力をいう。 |
123 | タイバー | 成形機においてダイプレートをささえかつ金型の開閉動作を案内し、また型締中は型締力を受けとめる2本以上の支柱あるいは枠をいう。 |
124 | タイバー間隔 | 成形機のタイバー間の内側をいい、水平及び垂直それぞれの方向の寸法をもって表す。 |
125 | 耐薬品性 | プラスチックでは、金属のように水分などにより錆びる現象は少ないが、有機溶剤や強酸、強アルカリに侵されるものがある。しかしフッ素樹脂、PE、PP、POMなどのように薬品に侵されにくいものも多く、特に塩類にはほとんど侵されない。プラスチックの構造によって縮合などで製造されたポリアミド、ポリエステルでは、強酸、アルカリによって加水分解され、高温では水の存在下で分子量が小さくなる(強度が低下する)。ビニル重合したプラスチックは一般に極性基をもつため、溶剤に弱く( 例 酢酸ビニル PMMA、PVC、CAなど)、これに対し、炭素と水素からなるPE、PPなどは耐薬品が良く、逆にこれを溶かす溶媒がなく、印刷適性も悪くなる。この水素をフッ素に変えたのがフッ素樹脂であるが、これはさらに耐薬品性がすぐれる。 |
126 | 耐油性 | プラスチックが油類に対して膨潤、溶解せず、クラックの発生がなく、外観、形状の変化または物性の低下に耐える能力をいう。 |
127 | 耐溶剤性 | 一般に極性のプラスチックは吸水率も大きく、水を含むと強度の低下、透明性の低下、膨張などを起こす。これに対し溶剤に対して侵されにくいものが多い。たとえばPA66、アイオノマー、ポリウレタンなどは、水に弱いが耐溶剤性はすぐれている。またアクリロニトリル共重合体も耐油性が良好である。耐水性の悪いプラスチックは少ないが、エチレン-ビニルアルコール共重合体はすぐれたバリヤープラスチックであるが、耐水性は良くない。逆にビニル系プラスチックは耐溶剤性が良くないが、耐水性は良好である。(たとえばPS、PVCなど)。耐薬品性にすぐれているフッ素樹脂、PP、PE、POM、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトンなどは、耐溶剤性もすぐれる。 |
128 | 滞留時間 | 成形材料が加熱シリンダに入ってから出てくるまでに要する時間。この時間が長いと熱安定性に乏しい材料では、成形不良などのトラブルを起こすことがある。 |
129 | 弾性変形/elastic deformation | 物体に応力を加えた時におこる全変形のうち、応力を取り除くと直ちに復元する部分のこと。 |
130 | 着色剤/coloring agent | 成形品や塗膜に一定の色彩を与えるために用いる染料及び顔料の総称。 |
131 | 超音波溶接/ultrasonic welding | 熱可塑性プラスチック製品の溶接部に超音波をあて、そのエネルギーによって発熱させて溶接する。 |
132 | 転移温度/transition temperature | 物質の物性がある状態から他の状態へ変化する温度をいう。物質の融点を第一転移温度、分子運動の凍結と考えられる温度を第二転移温度、またはガラス転移温度という。 |
133 | 透過性/permeability | 液体又はガス体が透過し得る固体の性質をいう。一般に物体に対するガスの透過性は、一定温度において単位面積、単位時間及び単位厚さに対して透過するガス量により示される。水蒸気の透過性をとくに透湿性という。 |
134 | 透明性/transparency | 可視光線を通す性質をいい、光の透過率の程度により、他に半透明性及び不透明性の別がある。 |
135 | 導電性プラスチック | 導電性を示すプラスチック。導電率10-5v/cm以上の半導体領域以上の導電性を示すものをいう。大別するとカーボンブラック、銀、銅などの導電性微粒子との複合化により、電子ホッピングサイトの生成と、導電路の形成により導電性にするものと、ポリマー自身に導電性をもたせるものがあり、後者の中には、π電子共役系の形成によるもので、例えば、ポリアセチレン、ポリ-ρ-フェニレン、ポリピロール、ポリチオフェンなどであり、これにドーピングすることにより導電性が附与され、特にポリアセチレン、ポリオキサジアゾールなどを熱縮合化してπ電子共役系を大きくしたものは導電率が大きくなる。また電荷移動型錯体を形成するポリビニルピリジン、ポリビニルカルバゾールなどへアクセプターを導入することにより、導電性となる。現在実用化されているのは、複合化による導電性プラスチックであり、ポリマー自体を導電化する技術は、研究が進められているが、まだ実用化の段階にはなっていない。 |
136 | トランスファー成形/transfer molding | 熱硬化樹脂に用いる成型法で、加熱室に成形材料を入れて溶かし、金型のキャビティに移送して成形する方法。 |
137 | トリミング/trimming | ①成形品にできるバリを取り除くこと ②フィルム・シートなどの両端の耳部分にある厚さなど不整部分を取り除くこと |
138 | ドローリング | 「鼻たれ」ともいう。シリンダ内の樹脂が漏れ、使用条件によりシリンダ内の樹脂がノズルから鼻タレすることをいう。 |
な行
No. | 用語 | 説明 |
139 | 内部応力 | 材料内部に、外力以外の原因(たとえば収縮など)によって生じる応力をいう。 |
140 | 内部歪み | 内部応力などによって固状材料の内部に生じたひずみをいう。 |
141 | ナイロン | ポリアミドを参照。 |
142 | 難燃剤 | プラスチックに耐燃焼性を与え、もしくは改良する目的で添加混入したり、又は表面塗布する薬品類。 |
143 | 難燃性 | (優) 5VA>5VB>V-0>V-1>V-2>HB (劣) 5VAが最も難燃性に優れ、HBが最も難燃性に劣っている。 |
144 | 難燃グレード | 装置や機器のプラスチック材料について、燃えにくさの度合いを表すもので、UL94規格で定められているのが一般的。 |
145 | 肉抜き(肉盗み) | 樹脂で埋まっている部分にコアを立て、穴をあけること。樹脂(肉)を盗むという意味合いで肉盗みという。収縮によるヒケを防止するために肉抜きを設置する。 |
146 | 二軸延伸フィルム/biaxial stretched film | フィルムやシートを一方向にのみ延伸すると強度又は伸びに方向性を生じ、一般に実用性を損なうことが多いために、特にフィルムにおいて直角2方向に延伸し、釣合いが取れ、強度向上を求めたものが得られる。この方法を二軸延伸といい、この方法で作られたフィルムは、二軸延伸フィルムと総称される。 |
147 | 二色射出成形機 | 二色または二種類の樹脂から成る一体の製品を成形するために、二組の射出装置を備えた二色成形専用の射出成形機をいう。金型が反転する方式が一般的であるが、金型のコアバック方式を採用する成形機もある。 |
148 | 二色成形(ダブルモールド)(多色成形) | 二色成形とは、二色または二種類の樹脂から成る一体の製品を作る成形法をいう。成形には、二組の射出装置を備えた専用機を使用する。二色成形品の主な用途として、電卓やコンピュータのキー、スイッチ類の押しボタン、機械装置のツマミなどに、文字や数字、記号などを入れる場合に適用されている。二色成形のプロセスで代表的な例として、第一シリンダより一色(一材)めを成形し、一度型開きをして、一次成形品をコア側に付着させたまま、金型回転盤を180゜回転させて型を閉じ、第二シリンダより二色(二材)めを成形し、再び型開きを行い、成形品を金型から取出して、二色成形品ができあがる。このプロセスでは、一次成形用金型と二次成形用金型の二組の金型を使用し、実際の操作では、二組の射出装置がほぼ同時に作動し、半回転ごとに1ショットの成形品が得られる。この他の方法としては、二組の金型を垂直軸のまわりに背中合わせに取付けて、垂直軸を中心にして半回転させる方法や一組の金型内に一次成形用と二次成形用のキャビティ、コアのセットを設ける方法などがある。二色成形の方法をさらに展開して、シリンダを増やせば数色の成形(多色成形)を行うこともできる。 |
149 | 熱可塑性エラストマー(TPE) | ゴムのような柔軟性と弾性を持つ高分子材料の総称。JIS(日本産業規格)の定義では、「室温で、弱い応力を加えて変形させた後、その応力を取り除くと、急速に元の寸法や形状に戻る高分子材料」とされている。代表的なものに合成ゴムがあり、熱可塑性エラストマー(TPE)は、熱を加えると軟化して成形でき、熱を冷やすと固まる特性を持つため、身近な製品にも多く使われている。射出成形や押出成形が可能。 |
150 | 熱硬化性エラストマー | 一度熱で硬化させると二度と熱で軟化しないタイプで、天然ゴムや合成ゴムがこれに該当する |
151 | 熱可塑性樹脂/thermoplastics | 加熱すると軟化して可塑性を示し、冷却すると固化するプラスチックを総称していう。 |
152 | 熱硬化性樹脂/thermosetting resin | 熱や触媒により硬化する樹脂のことで、代表的なものにフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などがある。 |
153 | 熱成形 | シートを加熱して軟化させ、軟らかい間に形をととのえ、冷却して成形品を作ることをいう。最もよく使用される方法は熱可塑性樹脂を使用した、真空成形や圧空成形(圧縮空気圧成形)なとがある。 |
154 | 熱伝導率 | 物質内で熱が伝わる速度を示す熱的特性値の一つで、単位時間、単位厚さ、単位温度あたりの熱量で表し、kcal/mhr℃が用いられることが多い。測定法には JIS A 1412 (平板比較法)、JIS A 1414 (平板直接法) がある。熱伝導率は、温度、圧力によって変化する。 |
155 | 熱変形温度/deflection temperature under load | 樹脂を一定の荷重下に一定速度で温度の上昇をさせたときに所定の変形を示す温度をいう。現在は間違った解釈が行われ易いため、荷重たわみ温度に改められた。 |
156 | 粘度(粘性) | 流動する物体の内部に生じる抵抗を粘度という。プラスチックで溶融粘度が低いということは流動性が良いことを意味し、逆に粘度が高いということは流動性がわ るいことを意味する。 |
157 | ノズル | 成形機の加熱シリンダの先端に取付けける射出口金をいう。形状あるいは、機能などによりノズル(開放口)、バルブノズル、延長ノズルなどの種類がある。 |
158 | ノズル形状 | 一般的にはノズル先端部の形状寸法をいい、球面 (R) と 口径 (φ) で表す。 |
159 | ノズルタッチ力 | ノズルと金型スプルブッシュ面を圧接させる力。 |
160 | ノッチ効果/notch effect | 穴・ミゾがある材料に応力を加えると、その集中効果によって強さが低下する効果のこと。 |
は行
No. | 用語 | 説明 |
161 | ハーネス | コネクタとケーブルが取り付けられた状態。 |
162 | 背圧(スクリュ背圧) | 射出成形機においての背圧とは、スクリュが回転して樹脂の可塑化と混練を行い、これをスクリュ先端に送り込むが、この先端に送られる溶融樹脂によってスクリュが後退する。この際スクリュの後退方向とは逆に射出方向に働かせて樹脂を加圧する圧力を背圧という。 |
163 | ハイブリッド式射出成形機 | 型締機構、エジェクト機構、射出機構などをACサーボモータと油圧機構の両方を用いて駆動させる射出成形機をいう。 |
164 | ハウジング | コネクタのモールド部分と言うことが多い。 |
165 | 発泡成形 | 機械的撹拌、揮発性、分解性、水溶解性発泡剤を用いて気泡体を製造する工程をいう。発泡成形を大別すると、ブロック成形(厚板)、板状成形、金型を用いる型物成形などになり、これらは、通常の射出、圧縮、押出、真空成形などの適用が可能である。またインテグラルスキン法及びRIM成形法などによっても発泡成形することができる。 |
166 | 鼻たれ(ドルーリング) | シリンダ内の樹脂が漏れ、ノズルから鼻たれ状に出てくる状態をいう。対策として、サックバック機構などがある。 |
167 | ハロゲンフリー (ノンハロゲン、非ハロゲン) | ハロゲンとはフッ素・塩素・臭素・ヨウ素・アスタチンの五元素の総称。単体では強い酸化力をもち、金属を腐食させる(溶かす)。ハロゲンフリー材料については、含有限界濃度が定められている。塩素(Cl)含有率:0.09wt%(900ppm)以下臭素(Br)含有率:0.09wt%(900ppm)以下、塩素(Cl)及び臭素(Br)含有率総量:0.15wt%(1500ppm)以下 |
168 | 半自動成形 | 作業開始ボタンを押すことにより1サイクルの各操作がプログラムによって自動的に行われる成形をいう。通常、作業者が成形品を取り出した後、再び作業ボタンを押すか、安全扉を閉じることによって次のサイクルが開始する。 |
169 | 汎用プラスチック(汎用樹脂) | 一般的には、価格が安く、加工容易な熱可塑性プラスチックで、広く工業用から日用品雑貨に至るまで使われているプラスチックをいう。代表的な汎用樹脂に、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、メタクリル酸樹脂などがある。 |
170 | バックフロー | 逆流防止機構付きスクリュヘッドの摩耗あるいは、ストレートタイプのスクリュヘッドを用いたときの成形条件、樹脂特性などにより射出時に先端部の溶融樹脂がホッパ側へ逆流することをいう。 |
171 | バリ | 成形材料が金型の隙間に流れ出して固まった、製品についた余計な部分のこと。 |
172 | パリソン/parison | ブロー成型でふくらませる前の筒状の成型材料のこと。 |
173 | パージ(パージング) | 成形機の加熱シリンダに残留する材料を、スクリュを前後進させ取り除く操作をいう。 |
174 | パーティングライン/parting line | 金型の雌型と雄型の分割面やおも型とサイドコアの分割面のこと。PLと略して呼ぶこともある。 |
175 | ヒータ容量 | 加熱シリンダ及びノズル部の合計ヒータ容量。 |
176 | ヒケ/sink mark | 成形品の表面に生じるくぼみのことで、肉厚の厚い成形品や肉厚に不同のある成形品で発生しやすい。これは、厚肉品では外面は早く冷却され、内部は冷却連鎖が遅くなるアンバランスが原因となる。 |
177 | 非結晶性プラスチック/non-crystalline plastics | 結晶化状態になり得ないか、結晶化してもその結晶化度が極めて低い高分子物をいう。分子の配列が一定しない状態であるため、無定形高分子又はアモルファスポリマーと呼ばれている。PS,PVC,ABS樹脂,メタクリル樹脂などは非結晶性樹脂に属する。 |
178 | 歪み | 応力により物体内に生じる変形をいう。特に、内部応力に起因するものを内部歪みという。 |
179 | 引張破断強さ | 引張りの状態で破損する前に材料によって耐えられる最大応力。その最大応力が破断点において発生する時の強さのこと。 |
180 | ひび | クレージングを参照。 |
181 | ピンホール | 薄い製品に出来た貫通した微細な穴をいう。 |
182 | ピンポイントゲート(ピンゲート) | 射出成形用金型の、3プレート金型で採用されるゲート方式で金型が動作する過程で、ゲートが自動的に切断される。 ランナーレイアウトの自由度が高く、多点ゲートも可能なことから応用性が高いゲート構造である。ゲートサイズは小さくなってしまう傾向があり填充不足に繋がる事もある。 |
183 | フッソ樹脂(フッ素樹脂) | フッ素樹脂には多くの種類があり、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)が主に用いられているが、その他のフッ素樹脂として、四フッ化エチレン・六フッ化エチレン共重合体(FEP)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、三フッ化塩化エチレン(PCTFE)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)など多くの種類がある。いずれのフッ素樹脂も耐薬品性にすぐれ、PTFEやFEPなどは耐熱性にすぐれ、また摩擦係数が小さく、非粘着である。フッ化ビニル、フッ化ビニリデンの重合体も市販されており、耐熱性、耐候性がよいので塗料などに用いられている。しかし、フッ素樹脂は比較的柔らかく、PTFEなどは成形温度が高いため、特殊な設備や方法で成形される。PFAやETFEなども射出成形はできるが、PTFE同様に特殊な設備や方法が必要である。また、フッ素樹脂は摩擦係数が小さいので、その粉末などを他のプラスチックに混合して軸受などの用途に用いることも多い。 |
184 | プランジャ式射出成形機 | 加熱シリンダ内で成形材料を可塑化させ、プランジャにより金型内に圧入する射出成形機をいう。大型機では可塑化が不均一で、成形材料が熱分解を受けやすいなどの欠点があり、現在ではほとんどスクリュ式のものに変わったが、小型機では成形機の駆動が速く、機構が簡単であるといった利点が買われて、ごく一部限られた分野 で利用されている。 |
185 | プリプラ式射出成形機 | 成形材料を別に設けた可塑化専用スクリュで可塑化させ、これをプランジャ前部へ送り込んだ後、プランジャを前進させて射出する方式の射出成形機をいう。熱可塑性樹脂の成形に採用されている。 |
186 | プリハードン鋼 | 中程度に焼入れ処理した鋼材で射出成形の金型用鋼材などとして用いられる。一般鋼材の場合、金型の耐久性を上げるために切削後焼入れし、研磨仕上げを行うが、それほど性能を必要としない場合にプリハードン鋼を使用することが多い。ショア硬度約30~50で、切削加工するだけで熱処理せずに使用できるのでコスト低減となり、また焼入れによる変形の問題もなくなる。 |
187 | フローマーク/flow mark | 射出成形において、溶融材料の流れの経路が成形品の面に残り縞状や波状の外観上の欠点となる模様のこと。 |
188 | ブロー成型/blow molding | 押出機から成形材料をチューブ状に押出し(パリソン)、これを中空の金型内に入れ内部に空気を吹き込んで膨らませると同時に冷却して中空の成形品を造る方法。中空成形とも呼ばれる。一般には、瓶などの容器類に多く用いられ、その他に自動車部品などの工業部品や玩具などにも利用されている。 |
189 | 粉砕機 | 射出成形で発生するスプル、ランナ、あるいは不良品となった成形品を粉砕して再使用に便利な形状にする装置をいう。 |
190 | ヘジテーション | 薄肉部を充填させるには、より高い圧力が必要とされ、それよりも低い圧力で流れる部分があると先にそちら側に流れてしまい薄肉部の流れが滞ってしまう現象。 |
191 | ベーキング | 「アフターベーキング」とも言う。熱硬化性樹脂を成形後、一定温度のもとに一定時間加熱する操作の事。アニーリング(熱処理)が残留応力の除去を主目的としているのに対して、ベーキングは加熱によって樹脂の硬化(キュア)状態を更にすすめて、寸法安定性を向上することを主目的としている。フェノール樹脂による電気機器(重電流遮断器など)のように比較的高温度に長期間さらされる製品などに応用されている。アフタベーキングの一般的な処理方法(条件)としては、120~150℃で数時間もしくは数十時間(多くの場合48時間以内)加熱をする。加熱時間は製品の形状や肉厚に応じて加減をするが、加熱中の製品の変形を防ぐために治具を使用する場合もある。 |
192 | ペレット/pellet | 直径または一辺が2~3ミリ位の小さい一定の円柱形または角柱に造粒した成形材料をいう。 |
193 | 変色/discoloration | 光・熱・屋外暴露・化学薬品などによって色が変わること。 |
194 | ベント式射出成形機 | 多段スクリュを内蔵し、通常第1ステージと第2ステージの中間部分に相当する加熱シリンダ部分に脱気孔(VENT)を設けた射出成形機をいう。水分又は、そのほかの揮発分を含む材料を予備乾燥しないで、そのまま成形することが出来る。 |
195 | ホットランナーシステム | 熱可塑性プラスチックの射出成形において金型内へ樹脂を流すための道であるランナーを溶融した状態で保ち、成形品のみ冷却させてを取り出すシステムである。その為、材料費が削減されるというメリットがある。 |
196 | 放電加工 | 絶縁液中において母型(電極)と型材との間の微小間隔に短時間の放電を繰り返すことにより型材を母型(電極)に相似した複製型に加工する方法。 |
197 | 保持圧力 | 射出成形においては、射出工程で金型に溶融樹脂を一応充填された後、ゲートが固化するまで保持しておく圧力をいう。射出圧力とは別の任意に調整可能な圧力。この操作によりキャビティ中の成形材料が逆流して充填圧力が低下するのを防止し、また積極的に成形材料が冷却収縮するのを補うことができる。 |
198 | ホモポリマー/homopolymer | 一般には共重合体(copolymer)に対する単独の重合体の意味で、単一種類の単量体から得られる重合体を指すことが多い。 |
199 | ボイド/void | 成形品の内部にできた空洞のことで、巣ともいう。発生原因としてはヒケと同じであり、成形品の外面に現れる収縮歪がヒケであり、内面に発生するのがボイド(空洞)である。 |
200 | ポリマー/polymer | 「ポリ」は多数、「マー」は高分子を形成する繰返し単位のこと。ポリマーとは多数の繰返し単位の低分子化合物からなる重合体のこと。 |
201 | ポリマーアロイ/polymer alloy | 高分子を2種類以上含んだ相互作用の強い高分子多成分系の総称。ポリマーアロイとしては、異種ポリマーをブレンドしたもの、異種ポリマーを化学的に結合したブロック共重合体、グラフト共重合体、異種ポリマー同士の水素結合や疏水結合で連なったポリマーコンプレックス、異種ポリマー同士の網状構造が絡み合った相互貫入高分子網目(IPN)がある。 |
ま行
No. | 用語 | 説明 |
202 | マスターバッチ | ナチュラルペレットと着色カラーペレットを、所定の割合で混合して、直接射出成形して最終製品にする方法。 |
203 | 曲げ強さ/bending strength | 曲げ荷重によって破断する場合の最大応力をいい、kg/mm2の単位で示す。 |
204 | マテリアルリサイクル | 材料リサイクル、材料再生、再生利用。廃材を利用しやすいように処理、加工し、製品の原料として(一部を)再利用すること。 |
205 | ミラブル | ゴム業界では一般的にロール練り可能なポリマーと言う意味で使用される。例えばウレタンゴムはポリマーの形態により加工方法が異る。液状ウレタン(キャスティングタイプ)、熱可塑性ウレタン、ミラブルウレタン(ロール練りタイプ)、同じウレタンゴムでもポリマーの形態、加工方法が異なるため、区別するためにロール練りが可能なウレタンゴムをミラブルタイプと表現する。また、ミラブルタイプの原料ゴムを使用して製造した加硫ゴムにも適用して表現することもある。 |
206 | メタクリル樹脂 | アクリル樹脂を参照。 |
207 | メルトフローレート(メルトフローインデックス) | 溶液状態にあるポリマーの流動性を示す最も普及している尺度の一つで、溶液指数ともいう。押出式プラストメーターで、一定圧力、一定温度の下に、規定の寸法をもつノズル(オリフィス)から流出する量を測定し、g/10minの単位で表わした指数 である。一般にメルトフローレートの数値が大きいほど溶融時の流動性や加工性は良好であるが、引張り強さ、耐ストレスクラッキング性が低下する。 |
208 | モールドベース | 射出成形用金型を構成するのに必要な部品を集めて組立てたものをいう。簡単な形状の金型ではモールドベースを用いることにより、金型の製作日数が短縮できる。 |
209 | モジュール | いくつかの電子部品あるいは素子よりなり、ある特定の機能を果たすように作られた単位組立電子回路をいう。 |
210 | モノマー/monomer | 付加反応(付加重合)によって重合体を生成する単位物質。例えば重合に用いられるブタジエン、スチレン、アクリルニトリル、エチレン、塩化ビニルなどをいい、一例としてエチレン(monomer)が重合してポリエチレン(polymer)になる。単量体ともいう。 |
や行
No. | 用語 | 説明 |
211 | 焼入れ | 鋼を高温に加熱し、急冷して硬度を高めるための熱処理の一種をいう。その処理温度は普通750~800℃で、硬さや耐摩耗性などを必要とする部品に適用される。 |
212 | 焼け | 金型キャビティ内へ、溶融樹脂が射出されるとき金型内の空気が圧縮され高温となり、その熱で樹脂が焼ける現象をいう。 |
213 | 要因 | 特性に影響する原因をいう。要因と特性の関係を調べるのが要因解析である。一つの特怯に対する複数の要因の影響を体系的に表した図が特性要因図である。実験で取り上げた要因を因子という。要因はいくつかの観点から分類されるが、因子の分類と同様に、制御可能性という観点から制御要因、標示要因(層別要因)、誤差要因と区別することが、取り得るアクションを明確にするうえで有効である。 |
214 | 溶接/welding | 熱可塑性プラスチック成形物の2片を加熱によって接合すること。熱風溶接、熱板溶接、高周波溶接などの方法があり、同時に加圧することもある。 |
215 | 横型射出成形機 | 型締機構、射出機構ともに水平に配置され、両者の中心線が一直線上にある射出成形機をいう。現在、最も多く使われているタイプである。 |
216 | 予備乾燥 | 吸湿性の成形材料から湿気を除くために成形前に加熱などにより乾燥することをいう。 |
ら行
No. | 用語 | 説明 |
217 | ライニング | 貯蔵タンクやシリンダなどの素地表面または内面に耐食、耐摩などを目的として内貼りを施すことをライニングという。 |
218 | ランド | 成形用金型におけるゲートの平行部(長さ)をいう。 |
219 | ランナー | 成形用金型においてキャビティに溶融材料を流し込む径路のうち、スプルからゲートまでの部分をいう。 |
220 | 離型剤/mold release | 金型により成形した製品を金型から押出せるように成形前に金型表面に塗る塗布剤のこと。焼付き防止、摩擦係数の低下、金型の冷却などを目的として使用され、希釈に水を用いる水溶性と灯油を用いる油性とに分けられる。 |
221 | 離型性 | 成形品が金型からの離れやすさをいう。固定側なら型開き時。可動側ならエジェクト時の離れやすさ。 |
222 | リブ | 製品の肉厚を厚くしないで、剛性や強度を持たせ、また広い平面部のソリを防ぐために用いる補強部分を呼ぶ。 |
223 | 流動成形 | 粉体またはペースト状液体の常温における流動性を利用し成形する方法で、粉末成形、流動浸漬、ペースト成形などがある。 |
224 | 流動解析 | 射出成形機から金型内に射出された素材(溶融した樹脂)がどのように充填されるかをシミュレーションし解析すること。充填可否/ヒケ/ボイド/反り等の現象をシミュレーションし、金型作製前に金型仕様や形状の御提案が可能。 |
225 | 良品 | 品質判定基準に適合する検査単位。いくつかの品質判定基準がある場合には、すべての項目を満足する検査単位。 |
226 | リングゲート | 円筒状の成形品の一端の周囲から、成形材料を充填するゲートをいう。 |
227 | 冷却時間 | 金型キャビティ内に射出された溶融樹脂は、金型に熱を伝えて冷却されていくが、通常成形品の両表面の中央部(最大肉厚部)の温度が材料の熱変形温度以下に達した時に冷却が終ったと見て、それまでの時間をいう。 |
228 | レオロジー | 物質の流動と変形について研究する科学の一分野であり、レオは流れを意味し、ロジーは学問を表わす。この呼び名は1929年にアメリカの化学者ビンガムによって提唱されたのに始まり、アメリカ、日本などにレオロジー学会が組織されている。自然界における流動と変形には、材料のもつ粘性、弾性、塑性といった3大要素によって種々様々な形態があり、これらの分野はいずれもレオロジーのはんちゅうに入るが、一般には溶液、溶融体や固体の混合流およびプラスチック、ゴムなどの粘弾性体の流れ挙動を取り扱う例が多い。これらは線型粘弾性理論や非線型粘弾性理論がいくつか提唱されているが、多くは現象論的な研究例がなされている。 |
229 | 劣化/degradation | 高分子物質が加熱されたり光や風雨にさらされた時に、変色・亀裂が起こるなど、物理的・化学的物性が低下する性質をいう。 |
230 | ロケートリング | 成形機のシリンダノズルとスプルブッシの入口及び、金型取り付け穴に対する金型の位置関係を正確に保つために金型の中心部に取り付けてあるリング状の物をいう。 |
231 | ロット | 等しい条件下で生産され、又は生産されたと思われる品物の集まりのことをいう。生産時のロットを生産ロット、検査の対象となるロットを検査ロットなどという。 |
わ行
No. | 用語 | 説明 |
232 | ワイヤカット放電加工 | 直径0.03~0.3mmのワイヤを電極として二次元輪郭を加工する鋼材の放電加工方法。射出成形用金型などの入れ子の加工に用いられることが多い。 |
233 | 割型(スプリットモールド) | 成形品を取り出すために、分割面をもった金型をいう。射出成形用金型では、成形品にアンダカットがあるために、さらに金型を分割しなければならないようなものを、とくに割型と呼んでいる。 |
A~X
No. | 用語 | 説明 |
234 | ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン) | アクリロニトリル(A)ブタジエン(B)スチレン(S)の3つの単量体からなるポリマーのことであり、それぞれの単量体の頭文字をとりABS樹脂と呼ばれている。特にブタジエン(B)の比率をかえることにより、性質は大幅に変化し、高衝撃品種から高剛性品種まで生成可能である。特殊グレードとして耐熱、透明、メッキ用のグレードがある。 |
235 | AS(アクリルニトリルスチレン) | スチレンモノマーとアクリロニトリルの共重体であり、GPPS(ポリスチレン)にほぼ近い透明性をもつ。GPPSと比較して、強度、耐候性、耐薬品性、耐熱性などに優れている。 |
236 | EPDM(エチレンプロピレンジエン三元共重合体) | Ethylene Propylene Diene Methylene Linkageの略。エチレンとプロピレン系に第三成分として非共役ジエン類を加えて得られる三元共重合体をいう。この内、エチレンが30%~70%、ジエン類が5%~10%を含むゴム状弾性体は合成ゴムとして有用な性質を持つ。すなわち、硫黄、過酸化物、キノイド類などで加硫することができ、熱安定性、耐老化性などに優れているのが特徴である。用途としては、電線被覆材、各種工業用品などに用いられている。 |
237 | EPM(エチレンプロピレンゴム) | Ethylene Propylene Methylene Linkageの略。エチレンとプロピレンとの共重合によって得られる合成ゴムの一種で、Mは分子内にメチレン結合を含むことを示す記号である。このゴムは天然ゴムや他の合成ゴムよりも著しく耐老化性に優れているのが特徴であるが、分子内に不飽和結合を含まないので硫黄加硫が行えず、過酸化物によって加硫しなければならない。用途としては、電線被覆材、ゴムタイヤ、ホースなど通常のゴム製品とほぼ同様の分野で使用されている。 |
238 | EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体) | エチレンと酢酸ビニルを共重合した熱可塑性樹脂でEVAと呼ばれる。通常酢酸ビニル含量40%程度までのものが用いられる。酢酸ビニル含量の少ないものは低密度ポリエチレンに近い性質を示すが、より強靭性を示す。酢酸ビニル含量が多くなるに従って柔軟性を増し、ゴムに近い性質を示すようになる。JIS K 6731 にその品質規格が表示されている。酢酸ビニル含量の少ないものは低密度ポリエチレンと同様の用途に使用されるが、酢酸ビニル含量の多いものは履物やレザーなどの雑貨やホットメルト接着剤などの用途に使用される。 |
239 | FRP(繊維強化プラスチック) | 「繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics)」の略で、プラスチック(樹脂)にガラス繊維などの繊維を混ぜて強度を高めた複合材料。鉄より強くアルミより軽い、錆びない、電気を通さない、水に強いなど多くの優れた特性を持ち、スポーツ用品から航空機・自動車部品、浴槽まで幅広く使われている。 |
240 | FRTP(ガラス繊維強化熱可塑性樹脂) | 「ガラス繊維強化熱可塑性樹脂」(Fiberglass Reinforced Thermoplastic)の略で、熱可塑性樹脂にガラス繊維を加えて強化したプラスチック材料。金属に代わる軽量な素材として、自動車部品や電気電子機器などで幅広く利用されており、吸音材や断熱材としての用途もある。 |
241 | HDPE(高密度ポリエチレン) | High-density polyethyleneの略で、ハイデンポリエチと呼ぶこともある。 密度は0.910以上~0.965未満と定義され、耐熱性と耐寒性を兼ね備えた樹脂。 剛性や耐薬品性に優れることから、主にタンクや容器として使用される。 |
242 | ICI法(高圧法) | 純粋にしたエチレンに少量の酸素あるいは過酸化物を触媒として加え、2000気圧程度の高圧下で重合させてポリエチレンを得る方法をいう。この重合法はポリエチレンの工業的生産法として1930年代にイギリスのICI社(Imperial Chemical Industry Ltd)がはじめて開発した有名な方法なのでこの名で呼ばれることが多い。高圧を利用するので高圧法とも呼ばれる。現在では世界的に見てもポリエチレンの生産法の主流を占めている生産方法である。この方法によると主として低密度ポリエチレンが得られる。 |
243 | LCP(液晶ポリマー) | スーパーエンジニアリングプラスチックの一種で、溶融時に分子が規則正しく配列する特性を持つ熱可塑性樹脂。高い耐熱性、難燃性、優れた機械的特性に加えて、薄肉成形が可能な高流動性や寸法安定性を持ち、スマートフォン、PCなどの電子部品、自動車部品、精密コネクタなど、微細で高精度が求められる分野で広く利用されている。 |
244 | LDPE(低密度ポリエチレン) | low-density polyethyleneの略で、ローデンポリエチと呼ぶこともある。密度は0.910以上~0.930未満と定義され、柔らかさは、全樹脂中でトップクラス。耐衝撃性や電気特性に優れ、耐薬品性、機械特性も良いことから、様々な分野で使用される。 |
245 | PA(ポリアミド) | 通称ナイロン(英: nylon)と呼ばれるエンプラの一つ。アミド基でアルキレン基が結合したものが多数集って出来た線状合成高分子物質である。一般的に摩擦係数が小さく自己潤滑性があり、耐摩耗性に優れ、耐衝撃性大、耐薬品性、耐溶剤性があるが、吸水性があり寸法安定性が悪い。ナイロン6 ナイロン66 ナイロン11 ナイロン12 等がある。 |
246 | PAI(ポリアミドイミド) | 耐熱性・機械的強度・耐摩耗性に非常に優れた「スーパーエンジニアリングプラスチック」の一種。高温下でも優れた性能を発揮し、重機や自動車部品、電子機器など、過酷な環境で使用される高性能部品に利用される。金属部品の代替としても使用されることがある。 |
247 | PAR(ポリアリレート) | 耐熱性、透明性、機械的強度、耐候性、弾性に優れた透明なスーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)。二価フェノールと二塩基酸(カルボン酸)を重縮合させて製造され、ユニチカが世界で初めて実用化・販売した。電気・電子部品、自動車部品、医療、日用品など幅広い分野で利用され、金属の代替材料としても注目されている。 |
248 | PBT(ポリブチレンテフタレート) | 高強度・高剛性で耐熱性・耐薬品性・電気的特性に優れ、成形性・寸法安定性も良好なポリエステル系エンプラ(汎用エンジニアリングプラスチック)。電気・電子部品や自動車部品、フィルム、住宅設備部品など、そのバランスの取れた特性から幅広い産業で利用されている。ただし、強アルカリ性には弱く、高温高湿下では加水分解を起こすため、使用には注意が必要である。 |
249 | PC(ポリカーボネート) | 優れた耐衝撃性、透明性、耐熱性、自己消火性を持つエンジニアリングプラスチックの一種で、ガラスの代替として自動車部品、カメラレンズ、建材、医療機器など、幅広い用途で使用されている。アクリルよりも透明度は低いですが衝撃に強く、屋外での使用に適している。一方で、有機溶剤や強アルカリに弱く、表面に傷がつきやすいという欠点もある。 |
250 | PE(ポリエチレン) | エチレンガスを重合させて作られる合成樹脂で、プラスチックの中で最も生産量が多く、軽量で加工しやすいのが特徴。安価で、耐水性、耐薬品性、絶縁性、耐寒性に優れており、ポリ袋、食品容器、バケツ、フィルムなど、工業製品から日用品まで幅広く使われている。ポリエチレンには低密度ポリエチレン(LDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)などがあり、用途に応じて使い分けられる。 |
251 | PEI(ポリエーテルイミド) | 耐熱性、機械的強度、耐薬品性、電気絶縁性などに優れたスーパーエンジニアリングプラスチック。琥珀色の透明な樹脂で、高温下での安定性が高く、医療機器部品や電子部品、自動車部品など、厳しい環境下で使用される用途で利用されている。 |
252 | PAEK(ポリアリールエーテルケトン) | 熱安定性、強度、剛性、耐薬品性に優れた高性能エンジニアリングプラスチックの総称。ベンゼン環がエーテル基とケトン基で連結された構造を持ち、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)などの具体的なポリマー種が存在する。これらの特性から、金属に代わる素材として医療、航空宇宙、自動車などの分野で広く使用されている。 |
253 | PEEK(ポリエーテルエーテルケトン) | 耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気的特性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチック。アリール基・エーテル基・ケトン基から構成される分子構造を持ち、航空宇宙、医療、半導体、自動車分野など過酷な環境で使用される金属代替材料としても広く利用されている。 |
254 | PEK(ポリエーテルケトン) | ポリアリールエーテルケトン(PAEK)の一種で、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)に似た特性を持つ高耐熱性エンジニアリングプラスチック。特に耐熱性、高温での圧縮強度、耐摩耗性に優れており、PEEKよりも結晶化速度が速く、ハイサイクル成形が可能。金属を代替できるほどの優れた特性を持つため、超耐熱が要求される過酷な環境下での使用に適している。 |
255 | PES(ポリエーテルスルホン) | ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)の略で、琥珀色を帯びた透明の非晶性耐熱プラスチック(スーパーエンジニアリングプラスチック)。高い耐熱性、耐熱水性、寸法安定性、難燃性、耐薬品性、耐衝撃性といった優れた特性を持ち、医療機器、電子部品、自動車部品、食器など、幅広い用途で使用されている。 |
256 | PI(ポリイミド) | 高い耐熱性、機械的強度、電気絶縁性、寸法安定性を備えたスーパーエンジニアリングプラスチック。イミド基を持つポリマーの総称で、特に電子機器、航空宇宙分野、半導体製造装置など、過酷な環境下で使用される部品やフィルム、コーティングなどに幅広く用いられている。 |
257 | PMMA(ポリメタクリル酸メチル) | ポリメタクリル酸メチル(Polymethyl methacrylate)の略称で、アクリル樹脂の一種です。高い透明度と耐候性が特徴で、ガラスの代替品として様々な用途に用いられます。一般的に「アクリル」と呼ばれ、有機ガラスとも呼ばれることがあります。 |
258 | PMP(ポリメチルペンテン) | 優れた透明性、高い耐熱性、耐薬品性、軽量性が特徴のポリオレフィン系熱可塑性プラスチック。比重が最も低く(約0.83)、ガラスに匹敵する透明性を持つ一方で、沸騰水中でも加水分解しないため、ガラスの代替として注射器やビーカーなどの医療・理化学機器に広く利用されている。 |
259 | POM(ポリアセタール) | 「ポリアセタール」や「アセタール」とも呼ばれる、機械的特性・耐摩耗性・自己潤滑性に優れたエンジニアリングプラスチック。金属に匹敵する強度と、高い寸法安定性や弾性回復率を持つため、金属の代替品としても使われ、歯車、ベアリング、電気電子部品、自動車部品などに広く用いられている。 |
260 | PP(ポリプロピレン) | 軽量性、耐熱性、耐薬品性、強度に優れた汎用プラスチックで、プロピレンを原料とする熱可塑性樹脂。透明性や加工性が高く、食品容器、自動車部品、家電、繊維、医療器具など、非常に幅広い分野で使用されており、日本のプラスチック生産量の約4分の1を占める代表的な合成樹脂である。 |
261 | PPE(ポリフェニレンエーテル) | ポリフェニレンオキシド(PPO)とも呼ばれ、耐熱性、難燃性、絶縁性、寸法安定性に優れた高性能なエンジニアリングプラスチック。単体では成形加工性が劣るため、他樹脂(ポリスチレンなど)とブレンドした「変性PPE(m-PPE)」として広く使用されており、軽量性、耐水性、優れた電気特性なども持ち、自動車部品、家電、OA機器、水回り部品など幅広い分野で使われている。 |
262 | PPO(ポリフェニレンオキシド) | ポリフェニレンオキシドまたはポリフェニレンエーテルの略称で、高い耐熱性、優れた電気特性、機械的強度、寸法安定性を備えた熱可塑性樹脂(プラスチックの一種)。通常、加工性を向上させるために他の樹脂とブレンドされた「変性PPO(またはPPE)」として使用され、電気・電子部品、自動車部品、水回り部品など幅広い分野で活用されている。 |
263 | PPS(ポリフェニレンスルフィド) | ベンゼン環と硫黄原子が交互に結合した結晶性熱可塑性樹脂で、高い耐熱性、優れた耐薬品性、自己消火性が特徴の高性能プラスチック。自動車部品、電気・電子部品、水廻り部品など、金属や他の熱硬化性樹脂からの代替として幅広い分野で利用されており、ガラス繊維などで強化されたコンパウンド材料として使われることが多い。 |
264 | PS(ポリスチレン) | 石油由来のスチレンモノマーを重合して作られるプラスチックで、スチロール樹脂とも呼ばれる。透明で硬い汎用ポリスチレン(GPPS)、乳白色で耐衝撃性に優れた耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、断熱性のある発泡ポリスチレンなど、用途に合わせて3種類に分けられる。加工しやすく安価なため、食品容器、日用品、家電製品の筐体、梱包材など幅広く利用されている。 |
265 | PSF(ポリサルフォン) | 透明で耐熱水性があり、無毒のため、食品、医用機器に用いられる。スーパーエンプラに属し、耐熱性は高く、難燃性で耐薬品性に優れており酸、アルカリにも耐える。また、低温特性にも優れており冷凍トレイ、電子レンジトレイに用いられる。電気、機械部品にも用いられ、義歯、ポンプなど医用にも用いられる。 |
266 | PUR(ポリウレタン) | 「ポリウレタン樹脂」の略称で、ウレタン結合を持つ高分子化合物の総称。イソシアネート化合物とポリオールという化合物が反応して作られ、ゴムのような柔軟性から硬くて丈夫なものまで、非常に多様な特性を持つ樹脂である。クッション材や断熱材、塗料、接着剤、繊維など、日常生活から工業製品まで幅広く利用されている。 |
267 | PVC(ポリ塩化ビニル) | 塩化ビニルモノマーが重合してできたプラスチックの一種で、硬質と軟質の2種類に分けられ、その硬さは可塑剤の添加量で調整できる。耐水性、耐久性、耐候性、電気絶縁性に優れ、比較的安価で加工しやすく、建材(パイプ、窓枠、床材など)、ラップフィルム、バッグなど、生活用品から産業資材まで幅広く使われている。 |
268 | PFA(パーフルオロアルコキシアルカン) | 四フッ化エチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルを共重合した「熱可塑性フッ素樹脂」。高い耐熱性・耐薬品性・電気特性・非粘着性などフッ素樹脂の優れた特性を維持しつつ、従来のフッ素樹脂であるPTFE(テフロン)よりも加工しやすいため、半導体産業や化学産業、医療分野など幅広い分野で利用されている。 |
269 | RIM成形/reaction injection molding | 反応射出成形のこと。反応性のある2種類以上の原料の液体を計量してから、混合室の中で混合し、金型内に送り込んで反応させて成形品を製造する方法。代表的なものにナイロンRIM,ウレタンRIM,エポキシRIMなどがある。 |
【備考】
参照(引用)先は以下の通りです。(敬称略)
プラスチックの知恵袋、山一精工、木田工業、白銅