報告
2023.08.17
【企業見学会】(株)豊田自動織機 大府工場
業種 製造業
キーワード 産業車両・物流、自動車、繊維
AM活用製品
カーエアコン向けコンプレッサ用のアルミダイカスト金型について、従来工法では製造不可能な形状の冷却回路が設計可能になったことにより、製造時に金型をまんべんなく冷やすことを実現。これによって、サイクルタイムの大幅な短縮、マシン停止率の大幅削減に成功。
豊田自動織機 大府工場(コンプレッサ事業部)ではすでにアルミダイカスト金型でAMを実機利用されているとのこと。現場を見学させていただき、お話を伺いました。
訪問日:2023.7.5
AMを戦略的に導入
~Interview~
AM利用は目的でなく手段
従来工法では実現できなかった理想のサイクルを実現する手段が、たまたまAMでした。AMでなければ実現できなかった。『AMをどう利用するか』ではなくて、『何を解決したいのか。その解決にAMはどう役に立つのか、立たないのか』という考え方が必要です。
AM導入メリット
AMにより3次元的な冷却回路の設置が可能になり、金型の均熱化が実現できた。従来金型では、アルミが溶着するので磨き工程が必要であったが、AMを適用した金型全てで磨き時間が大幅に低減し、その内約80%で磨きがゼロとなった。
また離型剤が大幅に削減でき、サイクルタイム、廃水量、エアー使用量が大幅に削減できた。
戦略的社内調整
本命が抜本的な改革でも、まずは分かりやすい嬉しさを。
変化に対して抵抗感があるのが普通なので、まずは現場が喜んでくれる改善から進め、現場の困りごとに対して、新技術で応えるという構図を作り、各部署のキーパーソンを指名しプロジェクトを組み進めました。
AMならではの課題も多く発生しましたが、一つ一つ解決し、AMでしか実現できない効果を実感することで、現在では各部署が協力的な姿勢で、次のフェーズを進めています。
豊田自動織機からの一言
流通量が増えれば粉末も装置もコストメリットが出る。AMの利活用メソッドが広がっていってほしい。日本におけるAMは、まだ各社が秘匿し競い合うフェーズではなく、知見を共有し(分担し)、発展させていく段階だと思っております。新しい技術なので課題もたくさんありますが、それを上回る魅力のある技術だと感じています。