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報告

2023.09.14

海外展示会: Formnext South China(中国深セン)視察  

■展示会:Formnext South China(積層造形+粉末冶金+セラミック加工)
■会場:中国広東省深セン市展示会場:深圳国際会覧中心(Shenzhen World Exhibition & Convention Center) 6号館
■主催:Guangzhou Guangya Messe Frankfurt(AM担当)/UNIRIS(粉末冶金担当)
■会期:2023/8/29-31
■出展者数:275社(2021年199社)
■来場者数:23,913人(2021年3日間で16000人 41%増)約92%が広東省からの来場
■報告者:2023.9 インターモールド振興会 湯浅氏

展示会場について

深圳国際会覧中心(Shenzhen World Exhibition & Convention Center)宝安区

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 同展示会場は、深セン市政府が投資した重要な開発プロジェクトで、展示会、会議、イベント、ケータリング、その他あらゆる種類のサービスを統合したメガ展示会場として2019年11月にオープン。(開発エリアトータル160万㎡)
 展示エリア50万㎡(Messe Hannover45万㎡を抜き世界最大) ※現在は第1期で40万㎡
直線距離1.75kmのメイン通路の左右に16ホール(各2万㎡、柱無)、さらに5万㎡の最大ホール、2万㎡のイベントエリアおよび2万㎡の会議エリアなどを結ぶ。地上、地下、地下2Fにはトータル12000台の駐車場があり、その15%がEV車の充電設備付き。
 深セン市政府主導の開発プロジェクトだけあって、50万㎡の展示会場以外に、マンション群やホテル、ショッピングセンターなどエリア一帯は、ヤシの木や芝生や花がきれいに植えられており、もともと漁村というイメージは皆無。海につながる河口である深セン市と対岸の中山市、南沙市は市政としてはライバル関係にあり、深セン市の開発を追いかけるように対岸側も開発が進んでいるという。
 深セン市には、深セン会覧中心(福田区) という展示会場が、2004年に建設されて以降300を超える展示会で使われており、こちらの展示面積は10万㎡。こちらは深セン市の中心に位置しており、メトロなど交通の便は宝安区の国際会覧中心よりよい。(参考:東京ビッグサイトが総展示面積11.5万㎡)
 中国ではタクシーやバス、自動車のEV化は10年前から進んでおり、今ではすべてのタクシー、バスはEV車で、すでにサプライチェーンも確立されているとは聞いていたが、オートバイのEV化が一番驚いた。10年前に広州へ行ったときは、バイクが多くて排気ガスも騒音もすごかったが、ほぼすべてのオートバイがEVとなっているため、走行音はほぼ無音。タイヤが道路に擦れる音が聞こえる程度。
 EV化で排気ガスのにおいを感じることもなくなっており、空気も濁っている印象はなく環境が改善されていると感じた。

Formnext South Chinaについて

 Formnext South Chinaは深圳国際会覧中心ができた最初の年から同展示会場で開催を決めていたが、初年度2020は中止、2021はコロナ禍開催、2022は土壇場で中止と不運つづきであった。やっと2023で本格再開となった。
 中国国内は2023年1月から行動制限が緩和となり、すべての展示会が開催を復活している。それでも当展示会で国際色は感じられず、今回の出展者275社の99%が中国国内で、一部ドイツ企業エリア、インターナショナルエリアとしてBosch、シーメンスなど10社ほどが小小間のパビリオンを作っているがいずれも中国現地法人が出展している。出展に日本企業もゼロ。来場者も国外からの参加はごくわずか見られる程度となっている。

 これはコロナの制限解除の遅れや中国国内への入国の困難さにあるという。実際、中国への国際線は、コロナ前の30%にとどまっており、海外からの渡航者も50%未満。中国人の海外渡航も50%未満となっている。ホテルでは海外旅行者対応が間に合わず予約を断るパターンも起きているとちょうどTVニュースでやっていた。コロナ後経済的低迷が解消されない中国にとって、日本や欧米諸国とのビジネス再開や旅行者誘致は経済的には重要であると考えている。中国国内の経済状況の悪化や失業率の高さ、大学生の就職難に中国内では多く不満があり、日中、米中関係が不安定な中、日本の処理水への過剰反応などは、怒りの矛先を変えているだけで中国内にはプラスに働いていないように感じる。このあたりの政治的側面も経済回復が遅れている理由だろう。

 FormnextもAMが半分、半分は粉末冶金の展示会となっている。金属、プラ、セラミック、ナイロンなど、粉末冶金側は素材メーカーがずらり。3Dプリンター向けの粉末素材をPR。AM側は、金属が7割、プラが3割程度、あとはセラミック積層造形の展示も若干あり。会場内にあるセミナーエリアでは、出展者による新製品発表が、1社15分ずつだが朝から夕方までノンストップで行われており、参加者は熱心に耳を傾けている。それ以外に特別講演を集めたセミナーエリアは、初日はEV関係、2日目が医療関係、3日目が金型関連と内容別。いずれのセミナーも満席近く多くの聴講者が入っていた。

 また、今回初めての試みで3Dファッションショーが1日2回ずつ開催。布に柄を積層したストラタシス社による服飾のファッションショーと、Kexcelled社のプラスチック素材で造形したハンドパックのファッションショー。

AM業界の状況

 中国内のAMについては、製造業における新しい技術を取り込んで「世界の工場」を維持したい政府からの補助金援助が大きく、企業の取り組みやすさがある。
 新しいものが好きな国民性、中国内に素材が多く安価で手に入るなどの利点もありかなりのスピードで発展している。EV車やEVバイク先進国のため、より軽く、より早く作れる部品への需要はある。自動車、航空関係、医療(歯科)、とAM技術の活躍分野は他国と変わらないが、軍事関係も含め製品化されている点数が多いと感じる。
 AM加工種別については、金属、プラスチックはもちろん、セラミック造形も注目が高かった。

Formnext South China 会場内写真

Xi’an Bright Laser Technologies Co., Ltd. (BLT) 金属造形

■Farsoon(湖南华曙高科技股份有限公司)金属造形

E-Plus 3D(易加三维)金属、ポリマー

TSC(北京鑫精合)金属造形

ASSAB

CERAWEI Technology(微瓷科技(江西)有限公司)セラミック3Dプリンター

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